舞妓さんちのまかないさん

舞妓たちが共同生活を送る屋形で、賄いとして働くキヨ。ある日、キヨは幼馴染みのすみれが舞妓の付き人をしている様子を見かける。台所に現れたすみれは、舞妓になるため毎日頑張っていると語り…。

ある日、屋形のお母さんと踊りのお師匠さんが、舞妓デビューするすみれについて話をしていた。その場に居合わせたキヨは、すみれが100年に1人の逸材かもしれないと言われ、嬉しそうに目を輝かせる。

花街で働く男衆のお兄さんは、毎日稽古を頑張るすみれに期待していた。一方、すみれが痩せてきたことを心配するお母さん。キヨはすみれのために精のつく料理を考えるが、すれ違いが続いて食べてもらえず…。

初めて髪を結い上げることになったすみれ。寝ている間にまげが崩れないように特別な枕を使うが、なかなか慣れずに悪戦苦闘。どうしても眠れないすみれが夜中に台所へ行くと、そこにはキヨが待っていて…。

デビューが決まった舞妓にはお座敷で名乗る名前がつけられる。すみれは「百(もも)はな」に決まり、キヨは昔すみれと名前について話したことを思い出す。その後もキヨはつい「すーちゃん」と呼んでしまうが…。

京都に雪が積もり、キヨは朝早くから雪かきをしていた。その音で目を覚ましたすみれは手伝おうとするが、スコップがなくて諦める。キヨの雪かきを眺めていたすみれは、故郷の青森にいるような錯覚を覚え始める。

約1年前。京都への出発を控えたキヨは、青森の実家でおばあちゃんと最後の時間を過ごしていた。そこへすみれと健太が訪れ、昔話に花を咲かせる。その夜、おばあちゃんは夜行バスに乗るキヨたちを見送るが…。

半年前。京都で舞妓になるための修行をしていたキヨは、いつも叱られていた。そんななか、キヨが仲良くなった賄いさんが腰を痛めて入院。やがてキヨは、屋形のお母さんから舞妓に向いていないと言われてしまい…。

舞妓になる前の修行期間は「仕込み」と呼ばれ、舞妓の身の回りの世話や雑務をするのが仕事である。手伝いで仕込みの仕事をすることになったキヨは朝から掃除・洗濯と大忙しだった。その夜、キヨは料理をしながら、すみれと二人で仕込みをしていた当時のことを思い出すのだった。

キヨは晩ごはんの献立をどうするか悩んでいた。舞妓たちに何を食べたいかたずねるが、好物がバラバラで献立を決められない。その様子を見ていたすみれは好物のからあげが無性に食べたくなる。お座敷の帰り道で我慢できなくなったすみれは舞妓姿のままコンビニに入ろうとするが…。

すみれの舞妓デビューが間近に迫ったある日。すみれは他の舞妓たちと、デビュー前の見習いが締める帯「半だらり」の話をしていた。その夜、キヨはすみれがお座敷が終わった後も帰って来ていないことを知る。夜の街を探し回ったキヨは、神社の前で半だらりの後ろ姿を見つけて…。

ついにすみれの舞妓デビューとなる店出しの日がやって来た。すみれの支度が進む中、キヨも目の回るような忙しさを味わう。一息ついたキヨは、地元で人が大勢集まったときによく食べた郷土料理を思い出して台所で作り始める。そこへ支度の途中で抜け出してきたすみれがあらわれて…。

朝。キヨは寝ている舞妓たちを起こさないように起床すると、朝食を作り、舞妓たちを送り出して買い物に向かう。昼。キヨは稽古から帰宅した舞妓のために昼食を作り、料理の仕込みを行い、お座敷へ向かう舞妓たちに夕食を出す。夜。キヨは掃除をして銭湯へ行き、夜の京都を散歩する。

まかないの仕事が1日休みになり、キヨはカレーを食べようと思い立つ。花街では、ある理由からカレーを食べるのは御法度とされているのだ。楽しみでそわそわするキヨを舞妓たちは不思議に思い…。

雪の日の朝、雪景色を眺めていたキヨは、地元ですみれ、健太と一緒に雪かきをしたことを思い出す。三者三様のやり方で雪かきをしたキヨたちに、おばあちゃんはある料理を作ってくれたのだった。

青森のおばあちゃんの家を訪ねた健太は、郵便受けに手紙が届いていることに気づく。手紙の差出人がキヨだと知った健太は、学生時代、キヨとすみれが授業中にこっそり手紙のやり取りをしていたことを思い出す。

花街では、クリスマスになるとお客さんの手土産がケーキになることがよくある。舞妓たちはケーキを何個食べたという話題で盛り上がり、まだ1個も食べていないすみれはショックを受ける。そんなすみれにキヨは…。

元旦に青森へ帰省する予定のキヨは、京都で大みそかの夜を過ごしていた。除夜の鐘が鳴るなか、キヨはすみれと一緒に風呂に入ったり、お母さんからもらった福玉の中身を予想したりして一夜を過ごす。

青森の実家に帰省し、おばあちゃんと一緒に正月を過ごすキヨ。そこへ健太とすみれが訪ねてくる。雑煮にかけるくるみだれのため、すり鉢でくるみを潰しながら、キヨはすみれの舞妓としての活躍を誇らしく語るが…。

キヨ、すみれ、健太は初詣をするため雪道を歩き、神社へ向かう。神様に願い事をした後、おみくじを引く3人。くじの結果を見て落ち込むキヨだったが、すみれと健太はキヨのためにある行動に出て…。

正月が明け、戻ってきた舞妓たちは地元のお土産を配りあう。屋形は正月休みのため、舞妓たちはお小遣いで外食をすることに。彼女たちが向かったのは、舞妓姿では入ることができない憧れのファストフード店だった。

1月7日は、花街の仕事始めの日。すみれは髪を結い、お母さんに正月の挨拶をして、ハレの日に着る正装・黒紋付きの着付けを行う。着付けを終えたすみれが台所へ向かうと、大勢の舞妓たちでごった返していて…。

舞妓たちが出席する始業式の様子が、部屋のテレビに映っていた。壇上では優秀な芸舞妓として百子が表彰を受けている。舞妓には姉妹縁組をする習わしがあり、百子はすみれの義姉に当たる存在だった。

舞妓が正月に付けるかんざしは稲穂とハトの形をしていて、このハトには「憧れの人に目を入れてもらうと願いが叶う」というジンクスがあった。すみれは自分のハトにまだ目が入っていないことに気づき…。

お母さんが高級な牛肉を持って帰ってきた。早速キヨは牛肉を使った献立をあれこれと考え始める。一方、帰宅した舞妓たちは屋形の中が異様に寒いことに気づく。停電によって暖房器具が動かなくなっていたのだ。

お母さんが熱を出して寝込んでしまう。キヨは「温かいうどんを食べて休めばすぐに良くなる」と聞かされるが、おつゆが透き通った京都のうどんの作り方を知らなかった。キヨは作り方を聞き、食材を探しに出かける。

少しでも多くお座敷を経験させてもらえるように、すみれは花街のお茶屋さんに挨拶して回る「お茶屋さん回り」をしていた。相手が留守の時、すみれは一筆箋にメッセージを書いて渡していたのだが…。

花街では、節分の日に芸妓たちが仮装をするのが慣例になっている。屋形の舞妓たちはその手伝いをするため、夜遅くまで小道具や衣装を作っていた。だが夜が更けるにつれて、疲れた舞妓たちが盛り上がって大騒ぎし…。

節分に豆まきをするため、落花生を買ってきたキヨ。舞妓たちは大豆ではないのかと疑問に思いつつ、落花生を投げあって大騒ぎになりお母さんに叱られる。台所で落ちている落花生を拾い集めていたキヨは…。

節分の日。舞妓たちは神社で舞の奉納や豆まきを行うなど忙しい。疲れて座り込んだまま立てなくなった舞妓たちのために、キヨはホットレモネードを作る。一方、すみれはテキパキと動いて屋形を出ていくが…。

高級レストランで百子と食事をすることになったすみれだが、メニューを見ても何が書いてあるのかよくわからない。結局百子と同じ物を食べたすみれは、帰宅後に「うちは何を食べたんやろう…?」と悩む。

踊りの稽古がうまくいかず、すみれはもっと練習しなければと自分を戒める。屋形に戻ると、マラソンのテレビ中継にランナーとして走る百子が映っていた。何でもできる百子と自分を比べて落ち込むすみれだったが…。

百子がキヨを訪ねて屋形にやってくる。すみれの幼馴染みだというキヨに百子は興味津々で、コーヒーを入れるキヨの姿をじっと観察して時間を過ごす。やがて、帰ろうとする百子をキヨはご飯に誘う。

台所にあるニンニクを見て騒然となる舞妓たち。舞妓は香りの強い物を食べてはいけないため、ニンニクを食べられるのは翌日が休みの者だけなのだ。明日が休みのすみれは、餃子を楽しみにしながらお座敷に出るが…。

休みの日にすみれは、洋服を着て髪を下ろした普通の女の子の格好でキヨと一緒に街へ出かける。誰にも注目されず、観光客からカメラを向けられることもない状況に、すみれは開放感を覚えるのだった。

休日をキヨと過ごしたすみれは、最後にキヨがいつも行くスーパーへ。キヨをまねて買い物をしたすみれは、屋形に戻ってキヨの仕事を手伝い、舞妓たちのためにご飯を作ることで、舞妓を送り出す側の気持ちを知る。