MONSTER

ドイツ・アイスラー記念病院の日本人天才脳神経外科医ケンゾー・テンマは、院長の娘エヴァと婚約もして順風満帆の日々。ある日、東独からの亡命者家族の双子の兄が頭を銃で撃たれ運ばれてきた。直後、倒れた市長の手術を優先しろと命令が来るが…。

テンマは結局、先に運び込まれた双子の兄・ヨハンの手術を優先し、見事成功させる。一方、別の医師が手術した市長は亡くなってしまった。命令に逆らったテンマは重職から外された上、院長の娘エヴァとの婚約も破棄され、窮地に…。

テンマを冷遇した院長や上司ら三人が殺害される事件が発生した。また病院からはヨハンとその妹・アンナの姿が消えてしまった。BKA（ドイツ連邦捜査局）のルンゲ警部は、テンマが殺人事件の犯人ではないかと疑惑の目をむけるが…!?

連続中年夫婦殺人事件の重要参考人、ユンケルスの手術を行ったテンマは、彼の口から「モンスターが来る…」という言葉を聞いた。ユンケルスはドイツ連邦捜査局のルンゲ警部には口を閉ざすが、テンマには自分の仲間がみんなそのモンスターに殺されたと、身を震わせながら打ち明けた。だがそのユンケルスが病院から失踪。必死に後を追うテンマの脳裏に、9年前の双子兄弟失踪と病院幹部連続殺人が思い浮かぶ。そしてテンマの前に現れたのは…!?

ハイデルベルク大学に通うニナ・フォルトナーは、勉強にサークル活動、そしてアルバイトにと励む明るい少女。差出人不明のロマンチックな文面の電子メールを読んで、白馬の王子様のような相手を想像する一面も。そんなニナだったが、実は10歳以前の記憶が無かった…一方その頃、テンマは、自分の目の前で再び殺人事件を犯したヨハンの足取りを追っていた。そしてミュンヘンで、8年ほど前にヨハンに語学を教えていたという盲目の老人と出会うが…!?

テンマは、ヨハンがハイデルベルクに住む双子の妹アンナを20歳になったら迎えに行く、という証言を得る。テンマはハイデルベルクの新聞記者マウラーにすべてを打ち明け、アンナ捜索の協力を依頼する。最初は渋っていたマウラー。天馬とともに調査を続け、ついにアンナの居場所を突き止める。一方、アンナは病院から失踪した頃からの記憶を失い、フォルトナー夫妻の養女となって、ニナと名づけられ成長していた。そして20歳の誕生日、ニナは謎のメッセージに誘われハイデルベルク城へと…。

テンマはついに、ニナ（＝アンナ）と再会を果たした。だが二人がフォルトナー夫妻の家に帰ってみると、そこにはマウラーとフォルトナー夫妻の無惨な姿が。果たして、ヨハンの仕業なのか!? 衝撃を受け、放心状態に陥ったニナだが、事件がニナの失われた記憶を甦らせることに！ そこにようやく警察が到着した。現れたのは、マンハイム署の刑事ミューラーをメスナーで、テンマ達を保護すると言う。だが、彼らは…!! 危険を察知し、逃げ出したテンマとニナ。そして、記憶を取り戻したニナは、テンマに衝撃の真実を語りだす！

幼い頃の記憶を取り戻したニナ。その記憶の内容は、恐るべきものだった!! そしてニナは、テンマは悪くないという書き置きを残し、姿を消した…。アイスラー記念病院での日常業務に復帰したテンマだが、密かにある決意を。一方その頃、テンマが連続殺人犯だと疑うルンゲ警部は、テンマの元婚約者エヴァを訪ねていた。ハイデルベルク城の殺人現場の近くでルンゲ自身が見つけたテンマのネクタイを持って…。それを見たエヴァは…!!

自分の手でヨハンを止めることを決意し、病院から姿を消したテンマは、フランス外人部隊出身の傭兵ヒューゴー・ベルンハルトの訓練所にいた。ヨハンと対峙するために銃の撃ち方を学ぶためだった。銃を一度も撃ったことのない人間に教えるのは初めてだと言うベルンハルトは、孫のような年齢の東洋人の少女と一緒に暮らしていた。少女の目の前でベルンハルトは彼女の母親を撃ち殺していたのだ。殺していなければ自分が殺されていたと…。頑なな少女の心を、テンマがときほぐしていくうちに…!?

ドイツ・フェルデン市で市議会議員夫妻が殺害された。ヨハンが犯人ではと考えたテンマは、手がかりを求め議員宅に侵入。そこでコソ泥のヘッケルと出会う。犯人を見たというヘッケルに案内され、テンマは犯人の家に…。そこでテンマを待っていたのは、ヨハンではなく、中年の男。彼は金髪の青年にそそのかされ、議員夫妻を殺害したと語り出す。さらに、テンマ宛てのメッセージがあると…!!

双子の兄妹ヨハンとアンナ（ニナ）の育ての親だったリーベルト夫妻が、亡命前に住んでいたベルリンの屋敷を訪れたテンマは、双子が孤児院から引き取られたことを知る。その孤児院“511キンダーハイム”は、すでに廃墟と化していた。テンマは、元東ドイツ厚生省の役人ハルトマンを訪ねる。
今も里親として孤児を一人育てているハルトマンは、テンマに孤児院のこともヨハンのことも知っていると…!!

テンマは、ヨハンが育った孤児院“511キンダーハイム”のことを知る元東ドイツ厚生省の役人ハルトマンと会う。ハルトマンは、里親として預かっている少年ディーターに対し、虐待を繰り返していた。ディーターを救い出したテンマは、ディーターを預ける先を探すうち、ある孤児院で、ヨハンとアンナのことを知っていると言う女性エルナと出会う。エルナは“511キンダーハイム”が完全な兵士を生み出す悪魔の実験場だったと語り出す。それには、ハルトマンも関わりが…。悪魔の実験とは一体!?

ヨハンの秘密の一部を知り、次の手がかりを求め旅立つテンマ。そのそばにはディーターが。どんなに、ついてきては駄目だと言っても聞かなかったのだ。そんな二人は、ポーザー村で自動車事故にあった村人を助け、老医師のシューマンと知り合う。村人の往診に付き合ったテンマは、シューマンのケンカ友達の老婦人ペトラにクモ膜下出血の症状を見つける。テンマとシューマンは、設備も何もない村の診療所で、ペトラの手術をすることに。だが、そこにペトラの息子で警官のハインツが、テンマを逮捕しようとやってきた…!!

テンマを連続殺人事件の犯人として追うBKAのルンゲ警部は、今は別の殺人事件の捜査にあたっていた。家庭を顧みないルンゲに、妻と娘は愛想をつかし、家を出ていってしまう。その頃、テンマの元婚約者のエヴァは、すさみきった生活から立ち直ろうとしていた。だが…!?

ヨハンの居所を突き止めるため、ニナは、売春婦の姿でフランクフルトの酒場にいた。極右の大物“赤ん坊”に会うために。だがそれは罠だった。一方、テンマはニナの両親を殺した刑事の一人だったメスナーから、ニナが罠に掛けられたことを聞き出し、酒場へと急ぐが!?

赤ん坊は、ニナを極右組織を指揮する一人・ゲーデリッツ教授の元へ連れて行く。ゲーデリッツは、ヨハンを探し出し、組織の指導者として祭り上げる計画を話す。そのためにはニナが必要だと。一方テンマは、“赤ん坊”に捕らえられて窮地に…!!

かつてヨハンの才能を見いだした張本人でありながら、今ではその恐ろしさを認識したヴォルフ将軍から、テンマはヨハン抹殺を依頼された。だがテンマは、将軍の部下を脅して脱走し、フランクフルト市内へ。極右組織が企むトルコ人街焼き討ち計画を阻止するために。一方、ヨハンが残したメッセージから新たな真実を知ったニナも、焼き討ち阻止のため、極右組織のボスの元に単身乗り込む。だが…!?

トルコ人街焼き討ち事件の参考人として警察に身柄を拘束されたニナだったが、身元保証人が現れ、釈放されることに。身元保証人とは、ニナがヨハン殺害を決意しテンマと別れたあと、しばらく世話になっていた小さなレストランのオーナー、ロッソだった。久々の再会で、ロッソが以前のようにコーヒーに五杯も砂糖を入れるのを見たニナの顔に、やっと笑顔が戻る。ニナとロッソの間にはどういう関係が…!?

テンマは、大学時代の同窓生で、犯罪心理学者のルーディ・ギーレンを訪ねた。だが、ギーレンは、テンマが二重人格の連続殺人犯だと信じ、警察に通報してテンマを逮捕させようとする。しかも逮捕後にはテンマを研究対象として分析させるようにと条件付きで。テンマの言う怪物など想像にしか過ぎないと思っていたギーレンだが、研究中の連続殺人犯ユルゲンスの口から、怪物はいるとの言葉が！ そして…!?

テンマとディーターは、次の目的地フライハムへ行くためにヒッチハイクを。二人を乗せてくれたのは、イギリスから旅行にやってきた老夫婦ジョーンズとレイア。だがジョーンズは元警官で、指名手配されているテンマのことを不審に思っている様子が。人なつこいレイアのおかげで、なんとか和んだムードの旅となるが、その途中で、ジョーンズが漏らした、夫婦がドイツを訪れた意外な理由とは!?

南フランス・ニースの豪勢な邸宅に、ボディガード付きで暮らしている男がいた。その男こそ、ニナが、養父母のフォルトナー夫妻殺害実行犯の一人として行方を捜している元刑事のミュラーだった。ミュラーは警察を辞めたあと、あるシンジケートに雇われ、1年間で大金を稼いで引退。だがミュラーは、常に誰かの影に脅えていた。彼にあの夜の殺人を行わせたのは、ある一本の電話が原因だったのだ…。

ドイツ・ハンブルクで、連続中年夫婦殺害事件と思われる事件が起き、BKAのルンゲ警部も捜査官として派遣される。ルンゲは、特ダネを求めて取材にきた新聞記者に、今までの事件と同じく、犯人はテンマだと教える。しかしルンゲは、違う視点で事件を見ていたのだ。真相に関係なく、大きくこの事件が報道されれば、必ずテンマが現れるとにらんでいたのだ。そして!?

テンマへの復讐にすべてをかけた元婚約者のエヴァは、酒びたりの日々を過ごしていた。そんなエヴァの前に現れた一人の男…彼こそ、ヨハンと深いつながりのあるロベルトだった。だが、そのことを知らないエヴァは、ロベルトに、1年前の雨の夜、ユンケルス殺害現場で金髪の青年を見たと告白。今、闇の一部がついに明らかに。そしてエヴァの運命は!?

テンマはある山荘で、あるシンジケートのナンバー2にまでなった男の治療を。その男からテンマは、5年前に裏社会で起きたある衝撃的な事件のことを教えられる。テンマは、それがヨハンの仕業だと確信するが、いったいその事件とは…？ その頃、山荘へと続く道にロベルトとエヴァの姿が！ ロベルトは、テンマへの復讐に使えとエヴァに銃を渡す。果たして!?

「バイエルンの吸血鬼」と恐れられる大富豪ハンス・ゲオルグ・シューバルトは、ほとんど目が見えないため、曜日ごとに違う男子大学生を雇って本を朗読させていた。火曜日担当のカールは、自分の母親を探すために、母親と関係のあったシューバルトに接近していた。彼は、友人のロッテとともに、母の名をかたる娼婦にたどり着く。彼女の口から出てきた“木曜日の青年”とは…!?

シューバルトの実の息子だと偽っていた“木曜日の青年”ことエドムントは自殺していた。シューバルトに雇われた探偵のリヒァルトは、エドムントの遺書に疑問を持つ。一方、カールに近づいてきた一人の青年が。その青年こそ、あのヨハンだった!! 自分に同情してくれたヨハンに心を許したカールは、誘われるがままにシューバルトをある森へと導くのだが…!? 果たしてヨハンの真の目的は!?

大富豪のシューバルトから、行方知れずの息子の身辺調査の依頼を受けた探偵リヒァルト。彼は捜査中に犯人の少年を射殺し警察を辞め、アル中から立ち直ろうとしていた…。一方、シューバルトが父だと確信したカールは、その事実を隠し通すことを決心し、親友となったヨハンに、その証拠の品を渡してしまう。ヨハンは、笑みを浮かべながら証拠品を受け取り、そしてある行動にでる…!!

リヒァルトは、シューバルトから、全ては円満に解決したから調査を打ち切るようにと言われる。リヒァルトは、以前に調査を頼まれた息子候補のエドムントの自殺に疑いを抱いていたのだが、結局、調査を断念する。ある夜、自分が警官時代に追っていた複数の未解決事件を振り返る。一見、まったく繋がりのない事件ばかりだったが、その中にはテンマが犯人として手配されている中年夫婦殺人事件もあった。そして…!!

調査中に犯人を射殺してしまったために、警察を辞め、身を持ちくずしていた探偵リヒァルトであったが、未解決事件の再捜査を始めたことをきっかけに、再び自分自身を取り戻しはじめていた。そしてリヒァルトは、すべての事件の裏に一人の人物がいることを突き止める。その人物の名は、ヨハン。リヒァルトは、ヨハンが事件に関わった証拠を得ようとするが…!?

リヒァルトは自殺した。だがリヒァルトのカウンセリングをしていたライヒワインは、その死に疑問を抱き一人で調査を始める。そして不自然な点が次々と明らかに。ライヒワインは、調査を妨害しようとする暴漢達に襲われたことで、事件の影にヨハンがいると確信。リヒァルトの墓の前で、ヨハンの正体を突き止めてみせると決意する。その姿を遠くから見つめる男がいた。その男とは…!!

リヒァルトの死をきっかけに単身ヨハンの調査をしていたライヒワインに刺客が。だが間一髪、テンマが魔の手から救い出す。そしてテンマは、ライヒワインの案内で、大富豪シューバルトの秘書をしているヨハンの姿を確認する。ライヒワインはテンマに、一緒にヨハンを有罪にできる証拠を捜そうと言う。一方、テンマの旧友であるDr.ギーレンのもとに、ルンゲ警部が訪ねてきた…

シューバルトの息子カールに想いを寄せる女子大生のロッテだったが、カールは最近父の仕事の付き合いで忙しく、なかなか相手をしてくれない。そんな時、大学の図書館でロッテは、調べ物をしているニナと知り合う。ニナは、シューバルトの周辺で起きている事件が兄ヨハンの仕業ではないかと疑い、調査にきていたのだ。ロッテは、強引にニナをダンスパーティに誘うが…？ その頃、テンマは密かに密売人から銃を入手していた…

DR.ライヒワインに、屋上から飛び降り負傷した少年・マルティンの母からカウンセリングの依頼が。ライヒワインには何も語らないマルティンだったが、ライヒワインと一緒にきていたディーターに、ある事実を打ち明ける。すべてある人から教えられた遊びだと…。さらに、生き残った自分はあの人と同じ選ばれた人間なのだとも。あの人とはヨハンなのか!? ヨハンの目的とは!? そして、ヨハンの身に思わぬ異変が！ それは…!?

ヨハンは入院したものの、すぐに退院した。いったいヨハンの身に何が…？ そんなヨハンに、カールの母・マルゴットに成りすましていた売春婦から脅迫状らしき手紙が。ヨハンは自ら彼女の家にいくが、そこで…!? 一方、テンマは、ヨハンの手がかりを得るため、不法入国などが相手のモグリの医者に会いにゆく。医者の名はルン。17歳のベトナム移民の少女であった。ルンに、モグリをやめて正規教育を受けるように言うテンマだが…

テンマを追うドイツ連邦捜査局のルンゲ警部は、テンマと親交のあった在独日本人たちと会い、些細なことまで聞き出していた。実はルンゲ警部は、自分自身テンマになりきろうとしていたのだ。その頃、ヨハンの正体に気づいたライヒワインとギーレンは、それぞれ行動を起こす。ライヒワインは、ヨハンの今の両親リーベルト夫妻に会い、逃げないと殺されると説得を。一方ギーレンは、ヨハンを崇拝する殺人犯と面会し、彼からさらなる情報を!!

テンマは深夜の大学図書館の書架の上に身を潜めていた。その傍らには狙撃銃が！ 明日行われる大富豪シューバルトの蔵書寄贈式典に姿を現すヨハンを狙撃しようとしていたのだ。その頃、ライヒワインとギーレンは、テンマに殺人を犯せまいとそれぞれ最後の賭けに。ライヒワインはシューバルトと会い、ヨハンの正体を打ち明けようとしていた。一方ギーレンは、ルンゲ警部にヨハンの調査を嘆願する。そして式典が始まった…!!

女子大生のロッテは、ニナがヨハンとそっくりなことに気づき、ヨハンが読んで倒れたという絵本をニナに読ませる。絵本はチェコ語で書かれていたが、ニナもヨハンと同じく読むことができた。しかも、昔、読んだ記憶が…だがいったい、この本にはどんな秘密が!?
その頃、図書館では大富豪のシューバルト、そしてヨハンが出席するセレモニーが始まろうとしていた。書架の上に隠れたテンマの狙撃銃のスコープに、ついにヨハンの姿が!!

ヨハンは、当初、シューバルトの財閥を乗っ取るのが目的であった。だが、あの絵本を読んでから、彼の中の何かが変わっていた。そして、ヨハンは行動に出る。観衆で満員の図書館に火を放たせたのだ。理由を聞いただすシューバルトに、ヨハンは僕の目に映っているものが見えるかと迫る。一方テンマは、炎の中で、ついにヨハンと対決の時を迎える！ ヨハンに向かい銃を構えるテンマ！ そして、一発の銃声が…!!

燃え盛る図書館の中で、ヨハンに向け銃を打ったのはテンマではなくニナだった。だが、火勢と煙のせいでその弾丸がヨハンに当たったのかどうかは、わからぬまま。そしてヨハンは再び行方不明に。テンマこそすべての真犯人と信じるルンゲ警部は、ヨハンが住んでいたというアパートを訪ねる。人が住んでいた痕跡が、まったくない部屋を見たルンゲは…!? 一方、大富豪シューバルトは息子のカールに、ドレスデンにいる男へ、ある伝言を頼む。その相手とは？

グリマーは、フリーのジャーナリスト。今は旧東ドイツのキンダーハイム（孤児院）で行われていた虐待事件を調べている。旧東ドイツ時代には、新聞記者の肩書きで、スパイとして、世界中を回っていたという経歴を持つ。ドレスデンからチェコのプラハへと向う列車の中で、グリマーと、逃亡を続けるテンマが出会った。グリマーは、偽造パスポートを使っていたテンマが警察から逃げるのを手伝ってくれた上に、テンマのことを無実だと信じていると告げる。そんなグリマーに、テンマはある告白を!!

“511キンダーハイム”で何が行われていたかを調査しているフリーのジャーナリストのグリマーは、テンマと別れたあと、今ではペドロフと名乗っている元院長のラインハルトを直接訪ねた。だが、彼が辞めるまで実験は成功していたと追い返されてしまう。個人が破滅したのは彼が院長を辞めたあとだと…
翌日、グリマーは謎の暴漢に襲われたものの、ペドロフを再び訪ね、彼の部屋でたくさんの子供たちと出会う。ペドロフは、再び昔の実験を…!?

グリマーは、何者かに撃たれ死ぬ間際のペドロフから、昔の実験のデータやテープが入った貸し金庫の鍵を託された。だが、グリマーは、その鍵を求める正体不明の男たちに拉致されてしまう。彼らは“511キンダーハイム”を破滅に導いた怪物のルーツをドイツの組織に売ろうと企んでいたのだ。グリマーは、激しい拷問を受けても鍵のありかを言わなかった。そして、ピンチになると超人シュタイナーが現れるとだけ言い残し、気を失う。そこに銃を構えた謎の影が…!!

“511キンダーハイム”を調査していたグリマーは、旧チェコスロバキア秘密警察の一味から拷問を受けている最中に、意識を失ってしまった。気がついた時、周りには一味の死体が。その中にはプラハ警察の現職警部でもあるゼマンを優秀な警官として尊敬する若き刑事・スークは必死の捜査を開始する。そして偶然知り合った金髪の若い女性と話をしているうちに、ペドロフ殺しの第1発見者グリマーが怪しいとにらむが!?

スークは、殺されたゼマン警部は署内に潜り込んだ旧秘密警察と関係があることを突き止め、それを署長に報告する。だが、署長以下3人が毒を飲まされ殺されてしまう…スークは唯一の手がかりであるグリマーの行方を探るため、元“511キンダーハイム”の所長だったペドロフが世話をしていた子供たちから事情聴取し、グリマーと子供たちとの約束を聞き出す。
その頃、テンマは“3匹のカエル”の看板を見つけ、近所の人から話を聞こうとするのだが…!?

チェコ警察は、前署長ら旧チェコ秘密警察一派4人の殺害事件の容疑者として、ジャーナリストのグリマーと、新人刑事のスークに疑いの目を向ける。スークは自分が疑われていることを知りながら、真実を知るためにグリマーと再会。殺された“511キンダーハイム”の元署長ペドロフの貸金庫の中にあった、“怪物の生い立ち”が分かるという録音テープを一緒に聞くことに。
旧秘密警察や“金髪の女”が狙う驚愕の内容が、ついに明らかに…!!

スークの部屋でプラハ警察の特別捜査班の刑事が殺され、スークは一連の殺人事件の容疑者として追われる身に。その新聞記事を読んだテンマは、前所長らの殺され方などから、すべてはヨハンが仕組んだことだと推測する。テンマはスークと会うために、スークの母親が入院している病院へ。
その頃、スークはグリマーに助けられ追っ手からなんとか逃れ、少年の頃遊んでいた廃屋に隠れていた。その場所は誰も知らないはずだったが!?

ヨハンが自分に変装していたことを知らないニナは、道行く人々に「アンナ」と親しげに呼びかけられ、混乱してしまう…
その頃テンマとグリマーは、旧チェコ秘密警察の幹部、カレル・ランケ大佐と会うことに。ランケは、あくまでも、一連の殺人には自分達は関与していないと断言する。そしてペドロフが残した資料とカセットテープを、スーク刑事の身柄と交換するように申し出てきた。だがグリマーが“511キンダーハイム”出身だと知ると!?

三匹のカエルの看板を探し当てたニナは、その建物や周りの道を自分が知っていることに驚く。だがその記憶には、いいようのない恐怖の影が。
一方、テンマとグリマーは、ランケから重要な証言を得る。今回の依頼は“怪物の正体”を手に入れることだったこと、そしてかつて秘密警察内に“赤いバラの屋敷の男”と呼ばれる人物がいたこと、また彼が絵本作家でもあったと。
その頃、三匹のカエルの看板の建物に入ったニナに異変が!?

グリマーを慕う孤児たちは、みんなでグリマーの無実を証明しようとする。そして現場にいた金髪の女（アンナに変装したヨハン）を見つける。だが、ヨハンは、孤児の一人ミローシュを自分の部屋に誘い、彼の母親の存在を利用した卑劣な罠を仕掛ける。
一方、テンマとグリマーは、ミローシュが行方不明になったことを知り、懸命に捜索を開始するのだが…!?

ルンゲ警部は、絵本を手がかりに“赤いバラの屋敷”にたどりついた。その後、元チェコスロバキア秘密警察の幹部ランケ大佐と対面する。絵本の著者で屋敷の所有者だったフランツ・ボナパルタとは一体何者なのか、バラの屋敷で何が行われていたのか…ランケ大佐は、テンマに答えたのと同じように何も知らないと、ルンゲに答えるが…!?
一方、テンマの身にはチェコ警察の包囲網が密かに迫っていた…

大富豪のシューバルトに近づくために、ヨハンが利用したのは、愛人マルゴット・ランガーの存在。
シューバルトは、マルゴットと別れた3年後、彼女を探すために、“三匹のカエル”の看板がある建物を訪ねた時のことを思い出す。そこにマルゴットの友人の女性が、双子の子供と一緒に住んでいたことを。その事実を知らされたDr.ライヒワインの耳に、チェコでテンマが逮捕されたというニュースが!!

チェコで捕まったテンマは、デュッセルドルフの州警視庁に移送され、取調べの日々が始まった。同じ留置所には脱獄の常習犯ギュンター・ミルヒがいた。仮病を使うミルヒを、獄中で診断したテンマは、ミルヒに一緒に脱獄しないかともちかけられる。だが、テンマは取調べにも黙秘を続けるばかりで…!?
そんな折り、テンマに、やり手の弁護士ヴァーデマンが接見に訪れ、テンマの弁護を引き受けると言う。ヴァーデマンは、エヴァの証言が法廷での鍵になると見抜くが!?

テンマは再び希望を取り戻し、ヨハンに関する真実を語ることを決意した。だが、接見に訪れた弁護士のバウルをみて、激しく動揺する。バウルはミュンヘンのシューバルト暗殺未遂事件の際にテンマが撃った、ヨハンの協力者・ロベルトだった!!
ロベルトは、口封じのためにエヴァを抹殺すると言う。再びミルヒと接触したテンマは、ミルヒの誘いに乗り、脱獄をしたいと持ちかける。
その一方でテンマは、取調べの刑事たちに、すべての事件は自分が犯人だという自供を!! その裏には…!?

無実の罪をかぶり、虚偽の自供をしたテンマは、警察署内の留置所から、拘置所に移送されることに。
一方、テンマが自供したことを知ったエヴァは、テンマの無実を証明するための証言をすると、弁護士のバウルに電話をする。だがバウルこそ、エヴァの命を狙うとテンマに宣言したヨハンの手先・ロベルトだった！
そしてテンマは、脱獄の常習犯ミルヒと一緒に護送車に乗せられ、拘置所へ向かう。だがその途中で、ミルヒとの脱走計画が…!?

ミルヒとともに脱走に成功したテンマは、一刻も早くエヴァに危険を知らせようとする。エヴァが滞在しているのは、ホテル・シュタイゲントの402号室。エヴァと連絡がつかないため、直接部屋に向かったテンマが、そこで見たものは…!?
その頃、テンマの弁護士ヴァーデマンの父と、赤いバラの屋敷の所有者フランツ・ポナパルタの関係を調べるために。そこで明らかになった驚愕の事実とは!?

脱走したテンマは、弁護士ヴァーデマンの家に向かう。そこに残されていたのは、テンマを“赤いバラの屋敷”へと誘うメッセージだった。テンマはヴァーデマンの父が残したメモに書かれた暗号を解読しながら、再びチェコへと向かう。
一方その頃、ニナは子供の頃、ヨハンから聞いたかすかな記憶を頼りに、テンマより一足早く“赤いバラの屋敷”にたどりついていた。屋敷の奥の壁に隠された部屋の扉を開けた時、ニナの記憶が呼び覚まされた！ それは…!?

“赤いバラの屋敷”で気を失ったニナは、人形使いのリブスキーに助けられていた。一時のショック状態から回復したニナは、リーベルト夫妻が殺害された惨劇の日の出来事の一部始終を思い出す。ヨハンが“怪物”がやってきたと言っていたことを……!!
一方、やっと“赤いバラの屋敷”にたどり着いたテンマだが、屋敷は焼け落ちていた。呆然とするテンマのもとに、以前ヨハン抹殺を依頼してきたヴォルフ将軍からの使者が。将軍がテンマに語る、ヨハンの真実とは!?

二ヶ月前。脱走したテンマより先に、エヴァの部屋を訪ね、彼女を連れ出した男マルティン。彼は、フランクフルトで謎の人物からエヴァを連れてくるよう依頼されたのだった。だが、その仕事は、ある理由から、マルティンにとっても気の進まないものだった。
エヴァは、ロベルトに殺されるよりはましと、フランクフルトへの招待を承諾。エヴァに課された仕事とは、パーティー会場である人物を捜すこと。一体、誰が誰を何の目的で捜しているのか…？

エヴァのボディーガードを兼ねているマルティンは、いつしか自らエヴァを守る決意を固めていた。エヴァの行方を捜すテンマからさえも。
だが、ついにエヴァは目的の人物を見つけ、二人の関係にも終止符が。マルティンは用済みになったエヴァを殺すよう指示を受けるが、彼女を連れて逃走をはかる。マルティンは、エヴァがパーティーで捜していた男の身元を探ろうと、その跡をつけるが、そこでかつてない恐怖の時間を過ごすことに…!?

エヴァを殺せ、という命令を無視し、エヴァとともに逃亡を図ったマルティンは、雇い主のメガネの男と一緒にいた謎の若い男の後をつけ、部屋を訪ねる。
だが男は、彼が来るのを予想していたかのように、マルティンの過去を喜々として語り始める。その姿は、まるでヨハンのように…。
逃亡先のホテルへ戻ったマルティンは、一度はエヴァに銃を向ける。だが、最初の決意どおり、彼女を逃がすことに。そんなマルティンに、エヴァは一緒に逃げようと…

ニナは記憶を取り戻すため、ディーターとプラハにいた。そして幼い頃、ヨハンが赤いバラの屋敷に連れて行かれたことや、「三匹のカエル」の看板のある家の部屋で一人、「おかえり」と、ヨハンを出迎えたことなどを思い出す。だが、その記憶には、どこかに違和感があった。それ以上思い出そうとすると、ニナの頭の中に恐怖のイメージだけが蘇った!!
これ以上プラハにいても進展がないと悟ったニナは、Dr．ギーレンの催眠療法を受けることに！ その結果…!?

テンマは、エヴァのボディーガードだったマルティンから、ペトル・チャペックという男が“赤いバラの屋敷”の実験を続けていると教えられた。チャペックは悪魔を操ろうとしていると。
テンマは、チャペックの行動を監視し始めるが、警察に追われ、トラックにはねられてしまう。
絶体絶命のテンマが意識を取り戻した時、テンマは旧トルコ人街にある歯科医のミラン・コラーシュの部屋にいた。テンマを助けたコラーシュという男の正体は…？

かつてリーベルト夫妻殺害事件や、アイスラー記念病院医師殺害事件を担当した、ヴァイスバッハ警部も定年間近。最後の仕事は、連続殺人犯のディンガーの移送であった。
移送中の列車内で、ヴァイスバッハはディンガーから、最初の殺人のきっかけが小さな男の子にあと押しされたからだと聞かされる。男の子には双子の妹がいたと。
ヴァイスバッハは、その双子こそDr.テンマの事件の鍵を握る双子だと気づくが、定年まではあと30時間…!!

フランクフルトの極右の大物・赤ん坊。新しい秩序を作るという信念で、チャペックの片腕になって働く赤ん坊だが、最近のチャペックの言動に不信感をつのらせていた。
そんな赤ん坊が本音を話せるのは、ストリップバーで見かけ、一目惚れした女だけだった。だが、その女と会った直後、赤ん坊は殺されてしまう。
赤ん坊の死を知ったチャペックは、身の安全のため、郊外の隠れ家へと向かう。だが、そこでチャペックを待っていたのは…!?

すべての記憶を取り戻したニナは、ヨハンの足跡を追って、単身チャペックの別荘へ。
その頃、テンマはミランの残した資料から、チャペックと行動をともにしていた青年クリストフの行動を監視する。そうとは知らないクリストフは、ヨハンと待ち合わせをしているアパルトマンに入っていった。だがそこに現われたのは、銃を手にしたエヴァ！
ヨハンの行方を問い詰められたクリストフは、自分は昔からヨハンの知りあいだと語り…!?

銃を手に現われたニナに言われるまま、チャペックは彼女をヨハンのもとに車で案内する。その途中、チャペックは、ニナが来る直前にヨハンが来ていたことを打ち明ける。ニナが来たら自分の居場所を教えろと言われていたと。さらにチャペックは、ヨハンとニナの出生の秘密を語り出す。その驚くべき内容とは…？
そして車は目的地に。ニナはヨハンとついに再会を果たす!!
一方、テンマはクリストフから、ヨハンの居場所を聞き出して現場へ向かうが…!?

あの日、赤いバラの屋敷で何があったのか…
フランツ・ボナパルタ一人を残し、42人が息絶えたあの日、その場にいたのは、幼き頃のヨハンか、それとも…!?
ヨハンと再会したニナは、彼に本当の恐怖について語ろうとする。だがヨハンは、ニナの話をさえぎるように、あの日の出来事を一方的に語り出した。そんなヨハンに、ニナは思わず引き金を!!
その直後、駆けつけたテンマが見たものは、自分の頭に銃口を押し付けるニナの姿…

のどかな田舎町、ルーエンハイム。その町を見下ろす丘に立ったのは、BKAのルンゲ警部だった。ルンゲは、老夫婦一組しか泊まっていないホテルに部屋を取ることに。地元の少年ヴィムに優しくするルンゲだったが、その後、警察署を訪れ、応対した警官にこれからたいへんな事が起こると…
そしてルンゲが泊まるホテルに一人の客が。それは、警官殺害容疑をかけられたスーク刑事の身代わりになったグリマーだった。一体この町で何が…!?

ルンゲ警部とグリマーは、ルーエンハイムの町を見渡す丘の上に立っていた。この一見平和な町に、もうすぐ災厄が…住民達をお互い疑心暗鬼にさせ、全滅するまで殺し合わせようというのだ。ルンゲ警部たちは、それを阻止しようとしていたが、時すでに遅く一発の銃声が…
その頃、ニナを無事病院に預けたテンマは、ケルンでフランツ・ボナパルタが変名で描いた絵本にたどり着いていた。題名は「安らぎの家」。ドイツ語で「ルーエンハイム」…!!

雨が降り続くルーエンハイムの町は、電話も外に通じず、完全に孤立していた。そして、その町のなかで銃声が鳴り響き、いくつもの死体が散乱…まるで戦場のようになっていた。
その状況下で、ルンゲ警部とグリマーは、ヨハンの最後の目的がフランツ・ボナパルタだと、身分を偽り生き延びていたボナパルタ本人に突きつける。
一方、ミュンヘンでは、ヨハンを、彼の完全なる自殺を止めるため、ニナもルーエンハイムに行く決意を固めていた!!

雨が降りしきる中、ルーエンハイムの町では疑心暗鬼になった人々が殺し合っていた…
ルンゲ警部は、生き残った町の人々を助けながら、殺戮を煽動する一味のリーダーの居場所を捜していた。そしてボナパルタを捜し、町にやってきたテンマと再会を！ テンマとルンゲ警部、追われる者と追う者だった二人だが…!?
その頃、グリマーがボナパルタ達とともに立てこもっていたホテルに激しい銃撃が！ グリマーは単身外に飛び出すが…!?

ルンゲ警部は一味のリーダー・ロベルトの居場所を突き止めて突入する。だがルンゲ警部は、自分には名前などないよとうそぶくロベルトに返り討ちに…!?
一方、ボナパルタと会ったテンマは、彼と一緒にすべてを終わらせるために町に出る。その途中、ボナパルタはリーベルト夫妻が殺害されたあの夜の出来事を語り出す。
その頃、ニナはヨハンが隠れていたボナパルタの秘密の小屋に…そこにはボナパルタが描いた双子の絵が、たくさん散らばっていた…

テンマは、ロベルトを逮捕しに向かったルンゲ警部を救うべく、フランツ・ボナパルタことフランク・ポッペとともに豪雨の町なかを走っていた。そこに駆けよってきたのは、ヴィム少年。ニナが「吸血鬼の家」に行ったと言う。
その時、ヨハンが通りの向こうから姿を現した…
ポッペはヨハンを殺して自分も死のうとするが、瀕死のロベルトの邪魔が！ 残されたのは、テンマとヨハンだけ…
ヨハンはテンマに自分の額を狙って撃てと…!!

ルーエンハイムでの事件後、テンマにかかっていた連続殺人の容疑もめでたく晴れ、事件に関わり生き残った人々は新たなる一歩を踏み出していた。
だがテンマは、国境なき医師団の一員として海外で活躍するかたわら、ある調べ事を…
それはヨハンとニナ、双子の母親のこと。
テンマはその行方を突き止め、何度も通った末に、ようやく二人の話を聞かせてもらうことに。それは…!? そしてテンマは、事件後、一命を取り留め眠り続けるヨハンの元へと…