- 本伝 第1期
第1話〜第26話 - 本伝 第2期
第27話〜第54話 - 本伝 第3期
第55話〜第86話 - 本伝 第4期
第87話〜第110話
INTRODUCTION
あらすじ
地球から銀河系に進出した人類は西暦2801年、銀河連邦を樹立し、この年を宇宙暦元年とした。
清新と進取の気風にあふれた人類の黄金時代の始まりである。
宇宙暦296年、連邦軍の若き英雄であったルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは政界に転じ、その強力なる指導力をもって連邦議会に確固たる地位を築くに至った。そして、同310年、首相と国家元首を兼任したルドルフは銀河帝国の成立を宣言し自ら初代皇帝の地位に就くと共に宇宙暦を廃止し、この年を帝国暦元年とした。
ルドルフの支配は苛烈を極め批判者や反対者を弾圧、粛清する恐怖政治へと移行していった。
帝国暦164年、若き指導者アーレ・ハイネセン率いる共和主義者の一団がこの帝国領を脱出。
宇宙の危険中域を越えて多重惑星を持つ安定した恒星群に到り、新たに自由惑星同盟を建国し宇宙暦を復活させた。
宇宙暦640年/帝国暦331年、銀河帝国と自由惑星同盟は最初の接触をし、以来150年にもわたる永く不毛な戦いの歴史を繰り広げてきた・・。
こうした戦いの中、宇宙暦700年代末に2人の英雄が彗星のように現れた。
帝国側にラインハルト・フォン・ローエングラム、同盟側にヤン・ウェンリー。
いま、銀河の歴史は大きく動き出す。
STORY ー本伝 第1期ー
第1話「永遠の夜の中で」
「無能な司令官の下では、どんな有能も役立たない」
ダスティー・アッテンボロー
戦場におけるヤンやラップの状況に応じた的確な助言を無視し、我が道を歩む同盟軍の上官たち。それとは対照的に助言をする余地のない有能な指揮官の下で、勝利を手にしていく帝国軍。
第2話「アスターテ会戦」
「さぁ、おいでなすった・・・
問題は味方が私の言うとおり動いてくれるかさ」
ヤン・ウェンリー
アスターテ会戦の完全勝利に向けて紡錘陣形をとる帝国軍。中央突破で一気に勝負に出る構えである。それを迎え撃つ同盟軍第二艦隊のヤンがとった秘策とは?
第3話「第十三艦隊誕生」
「あなたは今、どこにいます?」
ジェシカ・エドワース
祖国と自由を守るという大義名分で戦争を賛美する国防委員長ヨブ・トリューニヒト。自分は安全な所に隠れて人々を戦争に駆り立てる男に、勇気ある女性、ジェシカが立ち向かう。
第4話「帝国の残照」
「早いものだな、キルヒアイス・・・あれからもう10年だ・・・」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
アスターテ会戦において多大な功績を残したラインハルトは姉であるアンネローゼのもとへキルヒアイスと共に向かう。キルヒアイスと出会ってから10年の月日が流れていた。ラインハルトとキルヒアイス、アンネローゼの関係を回想で綴る。
第5話「カストロプ動乱」
「ラインハルトを諌めることができるのはあなただけなのです」
グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼ
わずか2000の艦隊でマクシミリアン討伐に向かったキルヒアイス。 立ちはだかる「アルテミスの首飾り」と言われる、惑星防衛システムを打ち破るための彼の作戦とは?
第6話「薔薇の騎士」
「うまい紅茶を飲めるのは生きている間だけだから、みんな死なないように戦い抜こう」
ヤン・ウェンリー
第十三艦隊司令官として、軍事要衝であるイゼルローン要塞の攻略を命じられたヤン。そんな折、彼は横暴なトリューニヒト派の軍人を威圧するワルター・フォン・シェーンコップの姿を目撃する。そして要塞攻略作戦を彼に託すことになるのだが、はたして・・・
第7話「イゼルローン攻略!」
「私はシェーンコップを信じる。これはこの作戦の大前提だ。だから、最後まで信じてみることにするさ・・・」
ヤン・ウェンリー
ヤンの指揮のもとによるイゼルローン要塞攻略が始まった。 元銀河帝国出身で、いつ裏切るとも知れないシェーンコップを作戦の要に据えるが、動じることなく戦況を見つめるヤン。
第8話「冷徹なる義眼」
「ゴールデンバウム王朝は滅びるべきなのです」
パウル・フォン・オーベルシュタイン
無能な指揮官の下から逃れてきた冷徹なる義眼、オーベルシュタインがラインハルトに自らを起用するよう訴えてきた。キルヒアイスは釈然としない。オーベルシュタインの堂々たるプレゼンテーションは圧巻。
第9話「クロプシュトック事件」
「たびたび躾の悪い犬に吠えかけられるので時には蹴飛ばしてやるのが犬のためでもあろうという気が致しまして」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ブラウンシュヴァイク公爵主催の晩餐会に出席したラインハルトは悪意に満ちたフレーゲル男爵に話しかけられるが、これを軽くあしらう。しかし、そうしている間にも刻一刻とクロプシュトック侯の仕掛けたテロの危機が迫っていた・・・
第10話「ジェシカの戦い」
「私、自惚れていたの・・・もう一度あなたが誘ってくれるって思ってたのよ」
ジェシカ・エドワーズ
ヤンは士官学校の記念式典に招待され、テルヌーゼン市を訪れた。折しもテルヌーゼン選挙区補欠選挙が行われようとしており、そこには反戦団体からの候補ソーンダイクを支援するジェシカの姿があった。士官学校時代のヤン、ジェシカ、ロベールの微妙な三角関係がヤンとジェシカにとっては、ただ、愛しく懐かしい。
第11話「女優退場」
「この眼はごまかせないよ、おまえは陛下の御心を盗み、国をも盗もうとしている!」
ベーネミュンデ侯爵夫人シュザンナ
皇帝陛下の寵愛を受けることができないのは、アンネローゼが自分から皇帝陛下を奪ったためと決め込み、アンネローゼ殺害を企てるシュザンナ。
第12話「帝国領進攻」
「時々疑問に思うんですが、帝国では一部の貴族が民衆を支配して悪政を敷いていますが同盟では民衆に選ばれた政府が悪政を敷いている。いったいどっちがたちが悪いんでしょうか・・・」
ヤン・ウェンリー
自由惑星同盟最高評議会による帝国領内への進攻をするか否かという今後の命運を左右するあまりにも大きすぎる決断がまさに、一部の政治家によって決められようとしていた。膨大な人的および物的な資源を費やすことになる戦いははたして同盟にとってどのような結果をもたらすことになるのか・・・3022万7400名が戦地に送られようとしていた。
第13話「愁雨来たりなば…」
「強くなったな、フィーア。もはや・・・」
ウルリッヒ・ケスラー
同盟軍の帝国領侵攻の情報を得たラインハルトは、彼らを領土深く誘い込み、戦線が伸びきったところで攻撃するという方針を立てた。さらに同盟軍の力をそぐため、民衆に同盟軍の食料、物資を吸い取らせるという作戦を立て、かねてより辺境に赴任していたウルリッヒ・ケスラーに辺境星域の食料・物資の徴発を命じた。辺境星域の一つにはかつて、ケスラーと互いに思いを寄せていたフィーアがいたが、今はクラインゲルト家に嫁ぎ嫡男カールもいた。同盟軍が迫る中、首都星オーディンに向かうよう勧めるがフィーアは強い意志でケスラーに自らの決意を告げる。
第14話「辺境の解放」
「ロボス閣下がお目覚めの節は良い夢がご覧になられましたかとビュコックが気にしていたとお伝え願いましょう」
アレクサンドル・ビュコック
さしたる抵抗もなく帝国領を攻め上る同盟軍。自由惑星同盟軍のヴァーリモント少尉は植物学、土木学に通じていることからホーウッド中将に命じられ、帝国領に降り立ち、土地の開墾に務める。しかし、補給部隊が殲滅させられると人民の救済はおろか、上層部から食料、物資の現地調達という名の略奪を命じられる。彼はこれに反発するが、他の同盟軍の将官たちは命令を遂行する。前線部隊の状況を理解しない上層部の決断に翻弄されるヴァーリモント少尉と民衆。辺境で芽生えたテレーゼとの恋もまた切なく・・・
第15話「アムリッツァ星域会戦」
「それにしてもローエングラム伯の下にはどれだけの人材がいるんだろう・・・」
ヤン・ウェンリー
物資も底をつき、補給ルートも絶たれ、遠征による疲労に襲われる同盟軍。そこへ満を持して帝国軍が攻撃を仕掛けてきた。帝国側はラインハルトを筆頭にキルヒアイス、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ケンプ、ルッツ、ワーレン、メックリンガー、ビッテンフェルト・・・個性豊かで有能な指揮官たちが同盟軍に大攻勢をかける。
第16話「新たなる潮流」
「悔しいさ!決まっている。ティアマト、アスターテ、そしてこのアムリッツァ、何故やつは、いつでも俺が完全に勝とうとするときに現れては邪魔をするのか!」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
アムリッツァ星域での、ラインハルト率いる帝国軍の完全勝利を目前に、孤軍奮闘のヤン率いる第十三艦隊は、手薄となった黒色槍騎兵艦隊の包囲網を突破してイゼルローン要塞に帰還する。ラインハルトはヤンをこれまで以上に意識し始める。
第17話「嵐の前」
「軍人というのは敵を殺し、味方を死なせ、他人を騙したり出し抜いたりすることに明け暮れるろくでもない商売だ」
ヤン・ウェンリー
門閥貴族との武力抗争に乗り出す構えのラインハルトは、その間の同盟軍の動きを封じるための計略を立てる。だが、イゼルローン要塞司令官となったヤンは、この企てを予測していた。ヤンがとった対抗策とは・・・?
第18話「リップシュタットの密約」
「忠誠心などというものは、その価値のわかる人に捧げてこそ意味のあるもので、人を見る目のない主君に忠誠を尽くすなど宝石を泥の中に放り込むようなものです」
アントン・フェルナー
門閥貴族は、ブラウンシュヴァイク公の別荘のあるリップシュタットの森に参集し密かに盟約(リップシュタット盟約)を結んだ。これによって誕生した貴族たちの軍事組織(リップシュタット連合軍)は皇帝を擁するリッテンハイム侯、ラインハルト陣営に戦いを挑む準備を進めたが・・・。
第19話「ヤン艦隊出動」
「ルドルフが建てた帝国を打倒するために、ルドルフの亡霊を蘇らせようというのか・・・こいつはひどい喜劇だ」
ヤン・ウェンリー
宇宙暦797年3月30日、フォーク予備役准将による同盟軍統合作戦本部長クブルスリー大将の暗殺未遂事件が発生。それがすべての始まりだった。同盟領各地で軍の反乱、暴動が続発。暴動鎮圧のために出撃しようとしていたヤンのもとに、遂にクーデター勃発の報が入る。だが、「救国軍事会議」を名乗るクーデター勢力の首謀者は・・・!
第20話「流血の 宇宙 」
「シュターデン教官は知識は豊富でしたが事実と理論が対立するときは理論を優先させる傾向がありました。我ら学生は“理屈倒れのシュターデン”と呼んでいたものです」
ウォルフガング・ミッターマイヤー
リップシュタット戦役の最初の戦いは、ミッターマイヤーと彼の士官学校時代の教官、シュターデンとの間で始まった。だがミッターマイヤーの用兵の前には歯が立たず、シュターデンはレンテンベルク要塞に逃げ込む。要塞の心臓部である核融合炉を守っていたのは、白兵戦で敵を葬ることを何よりの楽しみとする装甲擲弾兵総監、オフレッサー上級大将であった。オーベルシュタインはオフレッサーには使い道があるとし、ある作戦の遂行をラインハルトに指南する。
第21話「ドーリア星域会戦、そして…」
「死ぬ覚悟があればどんな酷いことをやってもいいというの?信念さえあればどんな酷いことも、どんな愚かなこともやっていいというの?暴力によって自ら信じる正義を他人に強制する人間はあとを絶たないわ!」
ジェシカ・エドワーズ
救国軍事会議は、イゼルローン攻撃に向けてルグランジュ提督率いる第十一艦隊をドーリア星系に配備し、同時にハイネセンより脱出したと見せかけてバグダッシュ中佐をヤン艦隊に送り込む。彼はヤン暗殺の密命を帯びていたのだ。はたして、救国軍事会議の思惑通り事が運ぶのか・・・ヤンの運命は?一方、ハイネセンではジェシカたちが主催する反クーデターの市民集会が開かれ・・・。
第22話「勇気と忠誠」
「貴族のバカ息子どもが、穴の中に引っ込んでいれば長生きできたものを、わざわざ宇宙の塵になりに来たか」
ウォルフガング・ミッターマイヤー
ブラウンシュヴァイク公との確執の挙句、リッテンハイム侯は50000隻の艦隊を率いてガイエスブルク要塞を出て、辺境星域を次々と平定しているキルヒアイスの討伐に向かった。その報を受けたキルヒアイスは、少数の高速機動部隊を率いてリッテンハイム艦隊を翻弄する。その間、ルッツ、ワーレンが更なる攻撃を仕掛ける。団結に欠け、烏合の衆とも言える貴族連合と、見事なまでの連携を見せるラインハルト陣営の戦いぶりが実に対照的である。貴族連合の中にあって、唯一奮戦したのはファーレンハイト、そして老錬のメルカッツであった。
第23話「 黄金樹 は倒れた」
「わしは40年以上も武人としてゴールデンバウム王朝にお仕えしてきた。それが滅びるなら、せめて命運を共にするのが最後の務め。どうも我ながら不器用なことだ」
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ
惑星ヴェスターラントを統治する甥、シャイド男爵が、搾取に反発する民衆に殺されたことを怒ったブラウンシュヴァイク公は、報復のためにタブーとされている熱核攻撃を敢行しようとする。それを知ったラインハルトは直ちにこれを阻止しようとするが、オーベルシュタインは異を唱える。この攻撃の模様を撮影して、大貴族の非人道性を帝国全土に知らしめ、彼らの支配する民衆や、平民出身の兵士たちを離反させる決定打にするべきだというのだ。貴族連合軍を内部分裂させるための策を立案中のラインハルトだが、この作戦には気が進まない。「キルヒアイス、おまえがいたら絶対に許すまいな・・・」
第24話「誰がための勝利」
「固い信念なんてものは、かえって信用がおけんね。だいたい戦争なんてものは固い信念を持ったもの同士が起こすんだからね」
ヤン・ウェンリー
頼みとする艦隊、第十一艦隊を失い救国軍事会議によるクーデターは急速に行き詰まりつつあった。ヤンは、バグダッシュを証人にクーデターがラインハルトの計略であるという事実を同盟市民に公表し、その意義を失わせると共に、ハイネセンに立てこもる救国軍事会議の最後の拠り所である軍事衛星群「アルテミスの首飾り」を奇策をもって破壊する。更にヤンの公表した事実をリンチが認めたことで事態は大きく展開する。
第25話「運命の前日」
「政略のために民衆の犠牲を厭わないというのではあのルドルフ・フォン・ゴールデンバウムとなんら変わるところがないではありませんか!」
ジークフリード・キルヒアイス
全領土の制圧を成し遂げたキルヒアイスの別動隊は、ラインハルトの本隊が進駐するガイエスブルク要塞に帰還した。自ら出迎えその労をねぎらうラインハルトであったが、一方、キルヒアイスは、ブラウンシュバイク公によるヴェスターラントへの熱核攻撃を政略のために黙認したことが事実であるか否かをラインハルトに問う。ラインハルトは自身の葛藤には触れず事実と認める。そんな中、とりかえしのつかない悲劇が訪れようとしていた・・・!
第26話「さらば、遠き日」
「私たちはお互いの他に何も持たなくなってしまった・・・」
グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼ
アンスバッハは、ラインハルトに向けて銃を発射した。誰もが凍りつく中、キルヒアイスだけがアンスバッハを抑え込み、これを阻止したが、アンスバッハは指輪に偽装したレーザー銃でキルヒアイスを撃った。飛び散る鮮血。横たわるキルヒアイス・・・。しかし、この惨劇をも政敵リヒテンラーデ公を葬り去るための政略に利用しようとする冷徹なオーベルシュタインの姿があった。
STORY ー本伝 第2期ー
第27話「初陣」
「体制に対する民衆の信頼を得るには2つのものがあればよい。公平な裁判と、同じく公平な税制度」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
宇宙暦798年/帝国暦489年、イゼルローン回廊で軍事訓練にあたっていた同盟軍の前に突如、アイヘンドルフ少将率いる銀河帝国軍が現れ偶発的に戦闘状態に突入した。アッテンボロー指揮下の同盟軍には戦いに不慣れな新兵が多く、ひたすら守勢に回るしかなかった。ところが、却ってそれが帝国軍に「ヤンの作戦ではないか」との疑念を抱かせ積極的に積極的に攻められることはなかった。新兵としてこの戦いに参加したユリアンは、戦闘艇スパルタニアンのパイロットとして初陣を飾ることになるが、はたしてその戦果は?そして、ヤン不在の状況を帝国軍に対してどこまで隠し続けられるのか・・・
第28話「肖像」
「100戦して100勝するというわけにもいくまい。1度の敗戦は1度の勝利で償えばよい」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ラインハルトは、内政を固めることに尽力すると共に、キルヒアイス不在の心の穴を埋めるかのように、これまで以上に人材の登用に意欲を見せた。そんな中、ラインハルトは科学技術総監シャフトが提案した大規模な作戦を受け入れ、イゼルローン要塞への出兵を決定する。今は内政に専念すべきとの首席秘書官ヒルダの助言に対しては自らは出兵せず内政に従事するとし、ラインハルトは司令官にケンプ、副司令官にミュラーを任命し、作戦を遂行させる。
第29話「細い一本の糸」
「ある人間を自分の思い通りにしようとするには、相手をある状況に追い込み、行動の自由を奪い、選択肢を少なくすればよい」
アドリアン・ルビンスキー
フェザーン自治領主ルビンスキーは、これまでの政策を転換し、ラインハルトに全銀河系を統一させ、しかる後に彼を抹殺し、その遺産をすべて手中にするという計画を立てていた。そして、補佐官ケッセルリンクにその布石を打つよう命じる。ケッセルリンクはまず、同盟政府にヤンがクーデターを起こす可能性を示唆し、彼をイゼルローン要塞から引き離そうとする。その頃、帝国ではケンプの指揮のもと、着々とイゼルローン要塞への出兵計画が進められていた・・・
第30話「失われたもの」
「俺は寒いのだ、キルヒアイス。おまえと姉上がいない宇宙は暖かい光が欠けている」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ヤンは国防委員長より“査問会”を行うという名目でハイネセンへの出頭を命じられる。その頃、ケッセルリンクは、フェザーンに亡命していたシューマッハやランズベルクと接触し、「ある計画」への参加を呼びかけていた。また、帝国では、ガイエスブルク要塞のワープが成功し、ラインハルトがイゼルローン回廊への進攻を正式に決定する。この作戦の遂行に懐疑的なヒルダは、改めてキルヒアイスの喪失の大きさを思うと共に、未だ彼にしか心を開かないラインハルトを憂慮する。
第31話「査問会」
「国家が社会的不公平を放置して、いたずらに軍備を増強し、その力を内に対しては国民の弾圧、外に対しては侵略という形で乱用するとき、その国は滅亡への途上にある。これは歴史上、証明可能な事実である」
ヤン・ウェンリー
召喚命令を受けたヤンは、フレデリカとマシュンゴと共に、ハイネセンに到着したが、早々に2人と引き離されてしまう。軍の施設にほぼ軟禁状態となったヤンは、法的根拠のない査問会に引き出され、様々な事柄について詰問され、不満を隠せない。一方、ヤンを救出しようと奔走するフレデリカとマシュンゴは、頼みの綱、ビュコックを訪ねるが、現在のハイネセンはトリューニヒトによって政府、軍、マスコミに至るまで全て押さえられていると知り、愕然とする。クーデター以来、その権力を強めたトリューニヒトがうすら笑いを浮かべながら暗躍する!
第32話「武器なき戦い」
「人間の行為の中で何が最も卑劣で恥知らずか、それは権力を持った人間や権力に媚を売る人間が安全な場所に隠れて戦争を賛美し、他人には愛国心や犠牲精神を強制して戦場へ送りだすことです。宇宙を平和にするためには帝国と無益な戦争を続けるより先に、まず、その種の寄生虫を駆除することから始めるべきではないでしょうか」
ヤン・ウェンリー
帝国軍が40兆トンもの質量を持つガイエスブルク要塞をワープさせてイゼルローン回廊に侵入したことが判明し、ヤン不在のイゼルローン司令部は慄然とする。その頃、ハイネセンではヤンの査問が続き、遂に忍耐の限界に達したヤンが辞表を叩きつけようとした正にその時、帝国軍侵攻の急報が入ったのであった。同盟政府としてはヤンをイゼルローンに戻す他に道はなく、ヤンは自由の身となる。イゼルローン司令部には、ケンプからの宣戦布告が届き、主砲・ガイエスハーケンが襲いかかった!
第33話「要塞対要塞」
「それにしてもヤン・ウェンリーという男。いればいたで、いなければいないでどれほど我ら帝国軍を悩ませることか・・・魔術師ヤンとはよく言ったものだ」
ナイトハルト・ミュラー
ヤン不在のイゼルローン要塞に突き刺さるガイエスブルク要塞主砲ガイエスハーケン。トールハンマーで応戦する同盟軍。要塞同士の戦いが始まった。ケンプとミュラーの連携戦術に翻弄される同盟軍。そんな中、更なる危機を食い止めるため、ついにゲストアドミラル・メルカッツが動く。
第34話「帰還」
「ユリアン、教えたことを覚えているだろうか。そうしてくれれば・・・いや、私はユリアンが軍人になることを望んでいなかったはず、いささか虫がいいというものだ」
ヤン・ウェンリー
ミュラーはヤン不在の情報は真実であると判断し、帰還するヤンを捕らえようとするが、ケンプはそれを制止する。鋭い洞察力でケンプの作戦を見抜いたユリアンの助言により、戻って来たヤンと、メルカッツとの間で、連携が生まれ、帝国軍を追いつめる。劣勢となったケンプは、形勢挽回を狙う最後の手段としてガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞に衝突させようとするが・・・
第35話「決意と野心と」
「総参謀長はローエングラム侯をマキャベリズムの道具としてしか見ていないのではないかしら。だとしたら、それはあの方の、少年のような多感さを持ったあの方の感性を破滅させてしまうかもしれない・・・」
ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
敗走する帝国軍を追った同盟軍の前に、ミッターマイヤー、ロイエンタールの両艦隊が立ちはだかり、追撃を阻止した。敗戦を知ったラインハルトは、ミュラーを処断しようとするが、キルヒアイスを想起して思いとどまる。オーベルシュタインはヒルダの献策があったのではないかと問い質す。ラインハルトに支配者としての冷徹さのみを求めるそんな彼の態度にヒルダは、危機感を抱きはじめる。その頃、フェザーンでは次の陰謀が動き出していた・・・
第36話「雷鳴」
「結局またしてもフェザーンの黒狐が、奴は決して自分では踊らない。幕の陰で笛を吹くだけだ、踊らされるほうこそ、いい面の皮だな」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
リップシュタット連合の残党が、フェザーンの手引きで帝国に密入国したとの報告が入った。フェザーンの策謀を知ったラインハルトは、万が一に備えて姉・アンネローゼの護衛を強化する。ラインハルトの依頼を受け、山荘に隠棲するアンネローゼのもとを訪れたヒルダは、ラインハルトの胸中をアンネローゼに伝える。ラインハルトはフェザーン高等弁務官ボルテックを呼び出して策謀の全容を聞き、フェザーンとの間にかけ引きを展開する。
第37話「幼帝誘拐」
「犯罪とは、必ずそれによって利益を得る人間がいる」
オスカー・フォン・ロイエンタール
シューマッハとランズベルクは、幼帝エルウィン・ヨーゼフII世を誘拐しようと新無憂宮に潜入する。ラインハルトはそれを知りながら宮廷の警備を緩めていた。陰謀をめぐらすフェザーン、実行犯とならざるを得ないランズベルクとシューマッハ、その陰謀を逆用するラインハルト。様々な思惑の交錯する中、皇帝誘拐計画が実行に移された。はたして、この計画により最も利益を得るのは・・・
第38話「矢は放たれた」
「我々は流浪の少年皇帝を助けて悪の権化の簒奪者と戦う正義の騎士というわけだ。たいしたものさ、テレビアニメの主役がはれるぜ」
オリビエ・ポプラン
帝国軍の動きもなく平穏な日常を送るイゼルローン要塞に、ハイネセンからの緊急放送が入る。幼い皇帝を擁した旧帝国貴族たちが、フェザーンの協力を得て自由惑星同盟に亡命政権「銀河帝国正統政府」を樹立したという発表であった。すかさずラインハルトは同盟に対して宣戦を布告する。
第39話「ひとつの旅立ち」
「キャゼルヌ先輩は一つだけいいことをしてくれたよ。それはユリアン、おまえを私のところへ連れてきてくれたことさ」
ヤン・ウェンリー
予想される帝国軍の大侵攻を前に同盟政府は軍の人事権を乱用し、その影響はヤンの周辺にも及んだ。ユリアンが、フェザーンに赴任することになったのである。理不尽な人事であったが、これをフェザーンや帝国の内情を掴む好機ととらえるようにとユリアンを説得するヤン。宇宙暦798年/帝国暦489年9月、ひとりの少年が新たな任地に向かうべくイゼルローン要塞を後にする。
第40話「ユリアンの旅・人類の旅」
「フェザーンに行って別の価値観に触れる前に改めてここに至る人類の歴史を振り返ってみようと思う」
ユリアン・ミンツ
辞令を受けるため首都星・ハイネセンに向かうユリアンはその時間を利用して改めて帝国の、同盟の、そして人類の歴史を振り返る。人類社会に訪れた停滞の時代、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの登場、銀河帝国皇帝となった彼による弾圧、粛清。その後、共和主義者アーレ・ハイネセンが仲間と共にその支配下から脱出し、旅の途中でハイネセンは死去するも、彼の遺志を継ぐ者たちが自由惑星同盟を成立させたことなど・・・ユリアンが現在置かれている状況もまた、こうした歴史の上にあるのだった・・・
第41話「作戦名『神々の黄昏 』」
「フェザーン回廊を通過しないというのは人間が定めた都合であって、宇宙開闢以来の法則ではない」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
帝国軍の同盟領進攻作戦が発令される。それは、門閥貴族が中心の「銀河帝国正統政府」の存在と、それを後援する同盟政府を許さない帝国民衆の圧倒的な支持を得た。作戦は大胆で壮大なものだった。イゼルローン要塞へ陽動部隊を送り、本隊はフェザーン回廊を抜けて一気に進撃するという構想で、作戦名は「神々の黄昏」――。ヤン・ウェンリーは一人それを看破するも、対策をとる余裕も与えられぬまま事態は急速に進むのだった。
第42話「鎮魂曲 への招待」
「血を流す者、流させる者、流れた血を飲んで太る者。色々だね」
ユリアン・ミンツ
フェザーンに着任したユリアンは、その社会システムが安定していることを実感すると共に、ヤンの予想した帝国軍の作戦を挫くべく活動を開始する。だが、時すでに遅く、ロイエンタール艦隊がイゼルローン回廊に現れた。帝国軍の『神々の黄昏』作戦の第一幕が上がった。
第43話「ギャラルホルンは鳴った」
「終わりの始まりだ、フロイライン」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
門ロイエンタール率いる帝国軍によるイゼルローン要塞への攻撃がはじまった。ロイエンタール艦隊が仕掛けてきた先制攻撃に対しヤンは駐留艦隊を出撃させるが、逆に主砲を封じられてしまう。しかし、その状況に応じた策として強襲揚陸艦を密かにロイエンタール旗艦・トリスタンに接触させて薔薇の騎士連隊を送り込み、ロイエンタールとシェーンコップの一騎討ちが展開される。そんな中、ラインハルトの思惑通り『神々の黄昏』作戦は第二段階に突入しようとしていた。
第44話「フェザーン占領」
「彼らは閣下のことをカイザーと呼んでいるのです。マイン・カイザー、我が皇帝と」
ウォルフガング・ミッターマイヤー
イゼルローン回廊への増援に向かうと見せかけて帝都オーディンを進発した帝国軍は、先陣を切るミッターマイヤーのあとに続き、そのまま一挙にフェザーン回廊に殺到した。宇宙暦798年/帝国暦489年12月30日、ローエングラム侯ラインハルトはフェザーンに到着した。フェザーンの駐在武官たるユリアンの運命は、そして、フェザーン、同盟はどうなるのか・・・時代が大きく、かつ急速に動き出した。
第45話「寒波到る」
「同盟は独裁国となって存続するより、民主国家として滅びるべきだろう」
アレクサンドル・ビュコック
フェザーンを占領して意気上がる帝国軍に対し、危機的状況に追い込まれた同盟と銀河帝国正統政府。責任を追及されるべきトリューニヒトは失踪。そんな中、ビュコック司令長官らは残り少ない同盟軍の兵力を再編成し、対抗しようとするが・・・
第46話「ヤン提督の箱舟隊」
「野に獣がいなくなれば猟犬は無用になる。だから猟犬は獣を狩り尽くすのを避ける」
オスカー・フォン・ロイエンタール
フェザーン回廊を突破し、同盟領に侵攻する帝国軍。ビュコックからの連絡を受けたヤンは、もはや戦略上の意味を無くしたイゼルローン要塞の放棄を決定する。駐留艦隊を戦力として活かすべく同盟領へ向かおうとするが、ロイエンタール率いる帝国軍の圧倒的戦力を前に、多数の民間人を抱えて大掛かりな脱出作戦を試みるのは至難の技だった・・・
第47話「自由の宇宙 を求めて」
「フロイライン、私は戦いたいのだ」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
宇宙暦799年/帝国暦490年、1月20日、ラインハルトのもとに、ヤンがイゼルローン要塞を放棄したとの報告がもたらされる。ラインハルトは、ヤンが戦場で自分を倒そうとしていることを察知するが、戦うことにこだわる彼は、自ら「双頭の蛇」作戦の先陣に立つ。
第48話「双頭の蛇 ~ランテマリオの決戦~」
「わしは敵の銃口のために、この老体を残しておかねばならない・・・、という訳じゃな」
アレクサンドル・ビュコック
侵攻する帝国軍を阻止すべく、ランテマリオ星域を最終防衛線に設定した同盟艦隊であったが、その戦力比は帝国3に対し1であった。同盟軍は地の利を活かして善戦するものの、“双頭の蛇”陣形をとる帝国軍の圧倒的戦力の前に苦戦を強いられ、ヤン率いる援軍の到着を待つしかなかった・・・
第49話「闇が深くなるのは…」
「せっかくの年金も同盟政府が存続しないことには貰いようがない。従って私は老後の安定のために帝国軍と戦う訳だ」
ヤン・ウェンリー
かろうじて同盟軍の完全崩壊を防いだヤンは、一旦ハイネセンに戻り、フェザーンからの脱出に成功したユリアンと再会する。ヤンはユリアンから語られたフェザーンと地球教の繋がりに興味を示すが、帝国軍による更なる攻勢を迎え撃つべく準備を進めねばならなかった・・・
第50話「連戦」
「うちの艦隊は、逃げる演技ばかり上手くなって・・・」
ムライ
戦場でラインハルトを倒せば帝国軍は求心力を失って瓦解すると考えるヤンは、戦況をラインハルトとの単独決戦へと持ち込むべく、同盟領内で大掛かりなゲリラ戦を行い、帝国艦隊の各個撃破をはかる。痺れを切らしたラインハルトは、我が身を囮としてヤンをおびき寄せ、後に味方を反転させてヤン艦隊を包囲するという作戦をとる。二人の直接対決の時が迫る。
第51話「バーミリオンの死闘(前編)」
「要するに、要するに・・・、結婚してほしいんだ」
ヤン・ウェンリー
決戦を前にヤンは、なけなしの勇気を総動員してフレデリカに求婚する。自らを囮としてヤンを巨大な包囲網に誘い込むラインハルト。それを承知で短期決戦に起死回生を賭けるヤン。両者の衝突が確実となり、ついに直接対決の戦端が開かれようとしていた。それは、後の歴史家から「死闘」と称される決戦であった。
第52話「バーミリオンの死闘(後編)」
「良将だな。よく判断し、よく戦い、よく主君を救う、か・・・」
ヤン・ウェンリー
決戦に際してラインハルトの採った作戦は、24層にもわたる防御陣を並べて間断ない攻撃を加えながら、数で劣る同盟軍に消耗戦を強いるというものであった。それを看破したユリアンの意見に耳を傾けたヤンは策を講じ、自ら率いる主力軍でラインハルトの本営に肉迫する。ついに、ヤンはラインハルトの旗艦ブリュンヒルトを射程に捉えた。
第53話「急転」
「うん・・・、その手もあるね。だけど、私のサイズに合った服じゃなさそうだ」
ヤン・ウェンリー
宇宙暦799年/帝国暦490年5月5日22時40分。ヤン艦隊の砲列が、ラインハルトの乗る帝国軍総旗艦ブリュンヒルトを射程内に捉えた正にその時、首都星ハイネセンからの緊急通信として「無条件停戦命令」がヤンに伝えられた。勝利を目前にしたヤンがとった行動は・・・
第54話「皇帝ばんざい! 」
「民主共和制とは人民が自由意思によって、自分たちの制度と精神を貶める政体のことか」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
停戦により、初めて対面を果たすヤンとラインハルト。ヤンを帝国元帥として迎え入れたい意向を伝えるラインハルト。それに対するヤンの回答は・・・
STORY ー本伝 第3期ー
第55話「儀式から再び幕は上がり…」
「ヤン先輩の生涯最大の戦果は、今度の花嫁ですよ。これこそ奇跡の名に相応しい」
ダスティ・アッテンボロー
宇宙暦799年/新帝国暦1年、銀河帝国では皇帝ラインハルトの戴冠式が行われ、新たな時代が幕を開けた。一方、ヤンも軍を退役し、フレデリカとささやかな結婚式を挙げた。しかし、動乱の火種が絶えたわけではない銀河系にあって、果たしてこのまま平穏な時代が続いていくのか・・・
第56話「地球へ」
「周りは忘れても地球に住んでる奴らは、かつての栄光を忘れちゃいないのかもしれん」
オリビエ・ポプラン
ユリアンは遙か辺境の惑星を目指して旅をする。その惑星の名は地球。それは人類発祥の地であり、かつては人類社会に君臨し、栄華を極めていた。その栄光を取り戻そうと蠢く勢力「地球教」のルーツを求めて、商船アンデューティネス(親不孝)号に乗り込み、ポプラン、マシュンゴらと共に地球へと旅立つ。
第57話「キュンメル事件」
「僕は何かして、死にたかった」
ハインリッヒ・フォン・キュンメル
マリーンドルフ伯の甥である、余命わずかなキュンメル男爵が、ラインハルトとの面会を希望してきた。それはマリーンドルフ伯、ヒルダ親子の希望でもあり、ラインハルトは面会に出向く。だが、そこにはキュンメルを利用した「地球教」の陰謀が潜んでいた・・・
第58話「訪問者」
「この世で最も卑劣で醜悪なことはな、実力も才能も無いくせに相続によって政治権力を手にすることだ。それに比べれば、簒奪は1万倍もましな行為だ」
オスカー・フォン・ロイエンタール
にわかにメルカッツ提督生存の噂が流れる。それが事実とすれば、ヤン・ウェンリーが知らぬはずはなく、彼に叛乱の意思があるのではないかと、帝国軍の幹部たちは動乱の予感を抱く。一方、ワーレン艦隊はキュンメル事件に対する制裁のため地球に向かっていた。時を同じくして、ユリアンも地球教の本部侵入に成功する。
第59話「過去と現在と未来と」
「我々は敵の堕落を歓迎し、それどころか促進すらしなくてはならないんだ」
ヤン・ウェンリー
未来に思いをはせる者は、過去を知らずに済ますことはできない。ラインハルトは、これまで帝国内で国家機密とされてきたゴールデンバウム王朝の権力闘争の歴史を紐解く。一方、同盟では退役したヤン夫妻の生活が同盟に駐在するレンネンカンプによって監視され、夫妻は息苦しさを感じずにはいられなかった。
第60話「魔術師捕らわる」
「まさか裁判なしで死刑にもしないだろう。ここは民主主義国家だ」
ヤン・ウェンリー
バーラトの和約に基づき、同盟軍は所有が禁じられた戦艦、宇宙母艦を廃棄しようとしていた。だが、ダヤン・ハーン補給基地に潜むメルカッツ艦隊により戦艦は奪われ、それは思いもよらぬ形で同盟政府を追い詰めた。レンネンカンプの内政干渉に抗しきれなくなったレベロ議長は民主国家存続のため、やむなくヤン逮捕に踏み切る。
第61話「歌劇 への招待」
「つまり私は沈みかけた船だということか。それとも同盟政府自体が船で、私はその無能な船長といったところか」
ジョアン・レベロ
ヤン逮捕を受け、シェーンコップ率いる薔薇の騎士連隊は武装決起する。アッテンボロー、バグダッシュも加わり、ヤン解放を求めた。こうした事態を、帝国の高等弁務官レンネンカンプに知られまいとレベロ議長は苦心する。動乱の予感はいよいよ現実味を帯びつつあった。
第62話「血の流水階段 」
「あなたのように常に命令を受け、法に縛られてきた人間がそういった桎梏を逃れた時にどう考え、どう行動するか、私には大いに興味がありましてね」
ワルター・フォン・シェーンコップ
シェーンコップ、アッテンボローらにより救出されたヤンは、やむなくハイネセン脱出を決意する。その手段としてレンネンカンプの拉致を計画。そして、薔薇の騎士連隊が弁務官府を強襲した。こうして帝国だけでなく、同盟とも異なる立場をとる事となったヤン艦隊一行の運命は・・・
第63話「聖地」
「慌てるな、地球は逃げはせぬし、奴らを地球の外に逃がしもせん」
アウグスト・ザムエル・ワーレン
ワーレン率いる地球討伐軍であったが、途中、暗殺者に狙われるなど、その道程は容易なものではなかった。また、既に地球教本部への潜入を果たしたユリアンらは、ある出来事をきっかけに行動を起こす。そして、地球教の核心部分に迫ろうとした時、ついに帝国軍の総攻撃が始まった。
第64話「休暇は終わりぬ」
「俺は好戦的な皇帝として後世に知られるのだろうか・・・、だが、今さら生き方を変えられるはずはない」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
オーディンに伝えられたヤン逃亡とレンネンカンプ拉致の知らせは、帝国軍の幹部たちの間にも動揺をもたらした。ラインハルトは、レンネンカンプの代行としてシュタインメッツを任命し、レンネンカンプの身柄返還に関しヤンと交渉するよう命じる。だが、発生した騒乱の知らせに、なぜか高揚感を覚えたことをラインハルトは自覚していた。
第65話「すべての旗に背いて」
「最高指導者は文民でなくてはならない。軍人が支配する民主共和制など存在しない。私が指導者なんかになってはいけないんだよ」
ヤン・ウェンリー
補給基地ダヤン・ハーンでメルカッツとの合流を果たしたヤンは、独立を宣言したエル・ファシル自治政府の招きに応じる事をためらっていた。彼は同盟との関係修復を望んでいたのだ。一方、帝国軍は大本営をフェザーンに移し、レンネンカンプの遺体を収容して一連の事件の全貌をほぼ解明した。ラインハルトは再戦か、現状維持か・・・、決断を下そうとしていた。
第66話「黄金獅子旗 の下に」
「余に居城など必要ない。余のあるところが即ち銀河帝国の王城だ」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
フェザーンでの新帝都建設計画が始まる中、ラインハルトは同盟への再進攻を発令することにためらいを感じていた。それは、ルドルフを彷彿とさせる高圧的な形での権力行使に対する抵抗でもあった。重鎮たちが、それぞれの思惑を抱きながら、ラインハルトの決断を待っている中、猛将ビッテンフェルトが放った言葉がラインハルトの心を揺さぶった。
第67話「『神々の黄昏 』ふたたび」
「わしはヤン提督と違って50年以上も同盟政府から給料をもらってきた。今さら知らぬ顔を決め込むわけにもいかんのでな」
アレクサンドル・ビュコック
宇宙暦799年/新帝国暦1年、11月10日。黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)の出撃と前後してラインハルトの演説が全宇宙に向けて流された。彼は事件の真相を暴露した上で、自由惑星同盟に宣戦布告した。勝つ見込みのない戦いと知りつつも、これを迎え撃つべく準備を始めるビュコックとチュン。一方、同盟への復帰の道を断たれたヤンは、やむなくエル・ファシルへ向かうことを決断する。
第68話「エル・ファシルへ」
「美人局の成功は女性の魅力次第だな」
アレックス・キャゼルヌ
ラインハルトの宣戦布告を受け、同盟との関係修復の道が完全に断たれたことを悟ったヤンは、民主共和制の最後の砦として、またイゼルローン攻略の足掛かりとして、エル・ファシルの反帝国勢力に合流する。旅を終えたユリアン一行や、ハイネセンを後にしたムライらも集結し、新たな戦いの幕が上がる。
第69話「イゼルローン再奪取作戦」
「帰ってきた。居るべき場所へ。共に居るべき人たちの所へ」
ユリアン・ミンツ
ようやくヤンとの再会を果たしたユリアンを加えて、イゼルローン要塞再奪取の準備が進められる。一方、帝国軍はビッテンフェルトを先陣にして同盟領へと突き進み、これを迎え撃つべく、ビュコック率いる最後の同盟艦隊が出撃した。
第70話「蕩児たちの帰宅」
「知者は知に溺れる。ヤン・ウェンリーのカレンダーも残り少ないぞ」
コルネリアス・ルッツ
イゼルローン要塞を奪取せんとする不正規隊の作戦は要塞側に看破されていた。ルッツはヤンの罠に嵌まった見せかけて逆に罠に嵌めようとするが、それこそが不正規隊の仕掛けた心理的な罠であった。情報戦を得意とするバグダッシュの持ち味が遺感無く発揮される。さらに、1年前、要塞撤退時に同盟軍が仕掛けたもう一つの罠が帝国軍に追い討ちをかける。
第71話「マル・アデッタ星域の会戦(前編)」
「老いた獅子と若い獅子とが共に戦いを望んでいる。名誉がそれに彩りを添えることになるだろうが、結局のところ抜かれた剣は血塗られずして鞘に収まるものではないさ」
オスカー・フォン・ロイエンタール
宇宙暦800年/新帝国暦2年、ビュコック司令長官は数の上での不利を補うべく、マル・アデッタ星域の小惑星帯を貫く長大なトンネル状の空間に陣を敷き、地の利を最大限に生かして帝国軍を迎え撃つ。それは、民主共和制を奉ずる国家の最後の栄誉を担う戦いであった。老将の経験豊かな戦術の前に、圧倒的優位な立場にいるはずの帝国軍が思わぬ苦戦を強いられる。
第72話「マル・アデッタ星域の会戦(後編)」
「わしは良い友人がほしいし、誰かにとって良い友人でありたいと思う。だが、良い主君も良い臣下も持ちたいとは思わない。だからこそ、あなたとわしは同じ旗を仰ぐことはできなかったのだ」
アレクサンドル・ビュコック
帝国軍の大艦隊を前に一歩も引かないビュコック艦隊。恒星風を味方につけ、巧みな戦術で応戦する。味方のカールセンらの援護も受け、着実に帝国軍の大本営に迫りつつあった。だが、圧倒的な兵力で襲いかかる帝国軍の前に、ついに力尽きようとしていた。そして、ラインハルトの命により、ミッターマイヤーを通じて降伏勧告がビュコックに伝えられたが・・・
第73話「冬バラ園の勅令」
「奴らが下水の汚泥とすれば、マル・アデッタで死んだあの老人はまさに山の清水であった」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ビュコック、チュンらがあらかじめ差し向けたムライ、フィッシャーらの艦隊がヤン率いる不正規隊と合流し、イゼルローン要塞の兵力が確実に増加していく中、ビュコック戦死の訃報に接したヤンはショックを隠せなかった。宇宙暦800年/新帝国暦2年、惑星ハイネセンに降り立ったラインハルトは2月20日、勅令をもって同盟領の完全併呑を宣言し、ここに自由惑星同盟は、273年に及ぶ歴史の幕を下ろすこととなった。
第74話「前途遼遠」
「愛してもいない女を抱くには、人生は短すぎるだろうな」
ワルター・フォン・シェーンコップ
ラインハルトは自らイゼルローン要塞奪還にあたることを宣言する。圧倒的不利な状況下で孤軍奮闘を余儀なくされるヤン不正規隊は、それでも民主共和制の種をいつの日にか芽吹かせるという希望を放棄することなく来たるべき戦いに備えていた。そんな中、ラインハルトのもとに、「ロイエンタール元帥に不穏の気配あり」との報が届き・・・
第75話「雷動」
「あの夜のことを憶えているか。ロイエンタール元帥」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ロイエンタール元帥に謀叛の疑いあり。ラインハルトからの信頼も厚い厳正な司法尚書ブルックドルフからもたらされたその報告は、帝国軍の内部に重大な波紋を投げかけた。大本営へ出頭したロイエンタールを自ら審問するラインハルト。二人の脳裏に5年前の最初の出会いが甦る。ロイエンタールが忠誠を誓約することと引き換えに、投獄され命の危機に瀕した友人ミッターマイヤーの救済をラインハルトに求めたあの日が・・・
第76話「祭りの前」
「ここに宣言する。余はヤン・ウェンリーを余の前にひざまずかせぬ限り、オーディンはおろかフェザーンにも帰らぬことを」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
突如ハイネセンポリスで起こった大火はテロなのか事故なのか・・・いずれにせよ、ロイエンタールが周密に手配していた危機管理マニュアルにより被害は最小限に留まった。その後ロイエンタールへの処分が下り、統帥本部長職は解任されるも旧同盟領の政治と軍事を司る新領土(ノイエラント)総督に任じられた。ロイエンタールはラインハルトに次いで強大な軍を統率することとなる。ただし、その人事はヤン・ウェンリー一党を討って銀河帝国による完全な宇宙統一を成し遂げた後に発効するという条件付きであった。ラインハルトの心は既にヤンとの戦いに向いていた。
第77話「風は回廊へ」
「テロを起こすこと自体は目的ではない。あくまで目的を達するための手順の1つにすぎないのさ」
アドリアン・ルビンスキー
ついに帝国軍は、最大の敵手たるヤン・ウェンリーを討つため、その強大な兵力をイゼルローンへと向けた。そんな中、フェザーンにおいて帝国の要人を狙った爆弾テロが発生した。水面下に潜む様々な陰謀が新帝国に揺さぶりをかける。
第78話「春の嵐」
「宿命の対決なんて無いんだよ、ユリアン。どんな状況の中にあっても、結局は当人が選択したことだ」
ヤン・ウェンリー
宇宙暦800年/新帝国暦2年、4月20日。帝国軍ビッテンフェルトからの降伏勧告がイゼルローン要塞にもたらされた。ヤンらがその対応を協議する中、要塞内には嵐の前のごとく静かな時間が流れていた。決戦を前にヤンとユリアンは夜を徹して語り合う。そして、ユリアンはヤンの苦悩を知るのだった。
第79話「回廊の戦い(前編) ~常勝と不敗と~」
「恐るべきは、ヤン・ウェンリーの知略だ。それと承知していながら、ついに奴の術中に嵌るとは・・・」
アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト
ヤン・ウェンリーはビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)を戦いに引きずり込むべく罠を仕掛けた。罠と知りつつ艦隊は、回廊の中へと進軍する。これに伴い、ファーレンハイト艦隊も参戦を余儀なくされ、ついに回廊の戦いの戦端が開かれた。
第80話「回廊の戦い(中編) ~万華鏡 ~」
「勝利か死か、ではない。勝利か、より完全な勝利か、だ」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ビッテンフェルト、ファーレンハイト両艦隊が敗戦した帝国軍であったが、ラインハルト率いる本隊が到着すると、圧倒的兵力をもって再び回廊内への進入を開始した。ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリー。常勝と不敗の名将が、ついに全面対決を迎える。
第81話「回廊の戦い(後編) ~大親征の終幕~」
「うちの生きた航路図が、死んだ航路図になっちまった」
ダスティ・アッテンボロー
回廊の特殊な地形を利用し奮戦する不正規隊であったが、物量に勝る帝国軍を前に次第に劣勢に追い込まれていく。激しい戦いの中で双方共に貴重な戦力を失っていき、ついに不正規隊は補いようのない損害を被ってしまう。もはや長時間にわたる帝国軍の猛攻を耐え抜くことはできない状況であった。その頃、帝国軍の内部でも思いもよらぬ事態が起こっていた。
第82話「魔術師、還らず」
「ずいぶんと血が出るものだな。もっとも私が今まで流させてきた量に比べればささやかなものだが・・・」
ヤン・ウェンリー
その時、一つの星が銀河の中で瞬いて消えた。その時、一つの時代が終わりを告げた。ラインハルトとの会談に向かうため、ヤンを乗せた巡航艦レダⅡはイゼルローン要塞を後にした。しかし、その行く手には帝国軍を装った地球教徒が待ち構えていた。今、銀河を揺るがす大事件が起きようとしていた。
第83話「祭りの後」
「あなたは、あなたにしか出来ないことをやればいい。ヤン・ウェンリーの真似をすることはないわ」
フレデリカ・グリーンヒル・ヤン
イゼルローン要塞はヤン・ウェンリーを失った。だが、歴史は変わらずに時を刻む。フレデリカやユリアンをはじめ遺された者たちは、ヤンが歴史に残した足跡を意味あるものにするため、新たな体制を築く。
第84話「失意の凱旋」
「誰も彼も、敵も味方も皆、余を置いて逝ってしまう。何故、余のために生き続けないのか!!」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ヤン・ウェンリーの突然の死は、帝国軍にも重大な衝撃を与えた。大きな喪失感に苛まれるラインハルトは軍を退くことを決意し、長い戦いにも終止符が打たれたに見えたが・・・。
第85話「遷都令」
「虫が食った柱だからと言って、切り倒せば家そのものが倒壊してしまうこともあるだろう。」
アントン・フェルナー
ラインハルトはフェザーンへの遷都を正式に発布した。ヤン・ウェンリー亡き今、人類社会の統一も時間の問題と思われ、誰もが平和の訪れを確信する中、ラングはロイエンタールを追い込むために密かにルビンスキーと取引を行っていた。銀河には依然、不穏な空気が漂っていた。
第86話「八月の新政府 」
「この不利な、不遇な状況にあって、民主共和政治の小さな芽を育んでくださる皆さんに感謝します。」
フレデリカ・グリーンヒル・ヤン
ユリアンは、ラインハルトがイゼルローンを孤立させ、その存在価値をなくす作戦にでたことを見抜いたが、それに対する打開策を考えあぐねていた。そんな中、宇宙暦800年/新帝国暦2年8月8日、イゼルローン共和政府は樹立された。「私、フレデリカ・グリーンヒル・ヤンはここに宣言します。」政治的指導者として記念式典会場で演説するフレデリカ。いつかヤンの理想が開花する日を夢見て、共和政府は動きだした。
STORY ー本伝 第4期ー
第87話「嵐の予感」
「あの時は、ミッターマイヤーがいて、ロイエンタールがいて、キルヒアイスがいた・・・」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
宇宙暦800年/新帝国暦2年8月、銀河帝国皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムは、宿敵ヤン・ウェンリーの死による喪失感から逃れるように政務に精励していた。ミッターマイヤーとの会見中、ふと彼の胸に去来する5年前の嵐の夜の出来事。それは、ラインハルト、キルヒアイス、ミッターマイヤー、ロイエンタールの長い友諠のきっかけであった。しかし、そうした絆をも揺るがす陰謀が貼り巡らされ、再び銀河に動乱の気配が忍び寄っていた。
第88話「辺境にて」
「年長者から年少者へ。先人から後続者へ。思いの松明はリレーされていくのだろうか」
ユリアン・ミンツ
フレデリカを政府首席、ユリアンを軍司令官として設立されたイゼルローン共和政府。全人類の内、ほんの一握りが立てこもる場所となってしまったイゼルローン要塞。そこは、まさに宇宙の辺境であったが、民主共和制の灯をささやかに守り続けていた。ユリアンは長期的視野に立ち、帝国にも共和制の思想を浸透させていく方法を考え始めていた。苦難の道ではあったがヤンの理想を受け継いだ者として歩き出そうとしていた。
第89話「夏の終わりのバラ」
「今夜は一人でいることに耐えられそうにないのだ。」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
新設された帝国軍戦没者墓地の完工式に出席したラインハルトは、暗殺者の襲撃を受ける。「ヴェスターラントを忘れたのか!」暗殺者が発した一言がラインハルトに深い衝撃を与えた。暗殺者は、あのヴェスターラントの犠牲者の遺族であったのだ。打ちのめされたラインハルトは、ヒルダに一夜の慰めを求め・・・。
第90話「鳴動」
「平和な世の武人など、鎖に繋がれた番犬にすぎん。怠惰と無為の中でゆっくり腐敗していくだけではないか」
オスカー・フォン・ロイエンタール
惑星ハイネセンでは、グエン・キム・ホア広場で旧同盟政府と同盟軍の関係者による戦没者合同慰霊祭が行われていた。しかし、何者かが参加者を扇動し、暴動が勃発。民間人、帝国軍人双方に多くの犠牲者を出す大惨事となってしまった。これを皮切りに新領土各地で反帝国の暴動が続発する。それらを影で操っているのは誰か?そしてその目的は?
第91話「発芽」
「皇帝が自分の領土を旅するにあたって、何故大艦隊を従えねばならんのか」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ヒルダへの求婚に回答を得られなかったラインハルトは、乗馬や不似合いな芸術鑑賞をすることで気を紛らわせていた。その頃、帝国内に「ロイエンタールが叛乱を起こす」という噂が再び流布する。ロイエンタールはラインハルトの信頼を確かめるため、敢えて新領土への行幸を求める招請状を出す。彼を信じるラインハルトは、周囲の反対を押し切って行幸を決断する。
第92話「ウルヴァシー事件」
「撃つがよい。ラインハルト・フォン・ローエングラムはただ一人で、それを殺す者も一人しか歴史には残らないのだからな。その一人に誰がなる!」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ハイネセンへの行幸の途上、ラインハルト一行は大親征慰霊碑参拝のため惑星ウルヴァシーに立ち寄るが、何者かに襲撃される。脱出する車の中、ミュラーはロイエンタールの謀叛を匂わせる。やはり、ロイエンタールの指示によるものなのか・・・。疑惑に心揺れるラインハルト。襲撃は執拗に続き、遂に彼らは取り囲まれてしまう。ラインハルトらを逃がすため、ルッツただ1人がその場に留まるが・・・。
第93話「矜持にかけて」
「俺は自分の矜持のため、戦わざるを得ない」
オスカー・フォン・ロイエンタール
惑星ウルヴァシーでのラインハルト襲撃事件、そしてルッツの死の報はロイエンタールを追い詰めた。ラインハルトとの間に修復し得ぬ亀裂が入ったことを彼は自覚した。しかし、彼の矜持は叛逆者に仕立て上げられるくらいなら、自ら叛旗を翻すことを選ぶのだった。一方、逃避行中のラインハルトもルッツの死を知り、ついに決断を下すのだった・・・。
第94話「叛逆は英雄の特権」
「勅命、謹んでお受けいたします」
ウォルフガング・ミッターマイヤー
自軍に保護されたラインハルトは、ロイエンタール討伐の命をミッターマイヤーに下した。無二の親友を討つという苦渋の決断を迫られたミッターマイヤーは、必死に友の助命を嘆願するが、もはや無駄であった。陰謀渦巻く一連の事件は、ついに帝国の双璧同志を戦わせるに至らしめたのだった。
第95話「双璧相撃つ!」
「あえて俺は卿と戦う。何故かと問うか。戦って卿を倒さぬ限り、カイザーは俺と戦って下さらぬだろうからだ」
オスカー・フォン・ロイエンタール
宇宙暦800年/新帝国暦2年11月、宣戦布告はなかったが、ロイエンタールとミッターマイヤーの戦いは、もはや誰にも止める事の出来ないものであった。ミッターマイヤーはロイエンタールに対し最後の説得を試みるが、受け入れられることはなかった。そんな中、ロイエンタールの使者としてムライがイゼルローン要塞を訪れ・・・
第96話「剣に生き…」
「突撃だ!ミッターマイヤーに朝食をとる時間をつくってやろう」
フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト
ロイエンタールとミッターマイヤー。帝国軍の双璧と謳われた二人の名将同士の戦いはランテマリオ星域において、ついにその火蓋が切って落された。ミッターマイヤーは、直接指揮下の機動戦力を最大限に活用して犠牲の多くなる持久戦を避け、短期決戦に持ち込もうとしていた。しかし、数の上でロイエンタール軍520万に対し、ミッターマイヤー軍259万と、不利な立場にあった。そんな中、ビッテンフェルトとワーレンの参戦により戦局は大きく傾いていく。
第97話「剣に斃れ」
「自分の血の匂いという奴は、5分も嗅いでいると飽きるものらしい」
オスカー・フォン・ロイエンタール
互いに知略を尽くした帝国軍の双璧の戦いは、意外な形でその幕切れを迎えようとしていた。味方であるグリルパルツァー艦隊がロイエンタール艦隊を砲撃したのだ。これにより捲土重来を期して惑星ハイネセンに撤退することを余儀なくされたロイエンタールだったが、彼自身それがもはや叶わぬことを誰よりも知っていた。
第98話「終わりなき鎮魂曲 」
「遅いじゃないか、ミッターマイヤー・・・」
オスカー・フォン・ロイエンタール
治療を受けることを拒んだロイエンタールの命の炎は、今まさに燃えつきようとしていた。ハイネセンに戻ったロイエンタールは政務と事務の全権を民事長官エルスハイマーに託すと、後の災いとなるであろうトリューニヒトを始末し、エルフリーデには息子をミッターマイヤーに預けるよう伝える。死を目前にした彼は、机にウイスキーとグラスを2つ用意して、グラスの向こうに座るべき親友を待つのだった・・・。
第99話「未来への助走」
「これは命令だ。死ぬなよ」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
宇宙暦800年/新帝国暦2年12月30日、ロイエンタール元帥叛乱を治めたミッターマイヤーは、フェザーンに帰還した。終戦を報告するミッターマイヤーにラインハルトは、これから何があろうと死ぬなと命じるのだった・・・。ミッターマイヤーは、妻エヴァンゼリンと共にロイエンタールの忘れ形見をフェリックスと名づけて、育てることにする。一方ラインハルトは、ヒルダから懐妊していることを告げられ、改めて彼女に求婚するのだった。
第100話「皇妃ばんざい! 」
「これからあなたをヒルダと呼ぶことにする。だからあなたも、余を陛下などと呼ばずラインハルトと呼んでほしい」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
新帝国暦3年の新年祝賀会の席上、ラインハルトはヒルダを皇妃とすること及び彼女の懐妊を公表した。歓喜の声に沸きかえる帝国全土。そして、2人の結婚式に立ち会うためにアンネローゼもフェザーンへと到着する。しかし、2人の結婚式が盛大に執り行われる中、惑星ハイネセンにて反国家的暴動が発生したとの報がもたらされる。
第69話「イゼルローン再奪取作戦」
「一戦交えましょう。帝国軍と」
ユリアン・ミンツ
物資の流通が阻害されたことにより生じた新領土での叛乱は、帝国にもイゼルローン共和政府にも大きな決断を迫るものであった。旧自由惑星同盟市民の帝国への反感にルビンスキーの策謀が加わり、事態はより深刻なものとなっていた。反帝国勢力からの救援要請を受けたイゼルローンは、その声にどう応えるのか。ユリアンの判断が問われる。
第102話「敢えて武器を手に」
「カイザーの向こう脛に蹴りを入れてやったぞ!」
ダスティ・アッテンボロー
イゼルローン軍出撃!ヤン亡き後、初めて軍事行動を起こしたイゼルローン軍は帝国軍の意表を突き、帝国本土方面へ侵攻をはかる。軍司令官としての初陣に臨むユリアンは、果たして魔術師ヤンの後継者たり得るのか。全銀河の耳目を集める戦いがついに始まった。
第103話「コズミック・モザイク」
「ビッテンフェルト家には代々の家訓がある。他人を褒めるときは大きな声で。貶すときはより大きな声で、というのだ!」
フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト
イゼルローン軍の勝利は旧同盟領全土に伝えられ、市民たちは熱狂する。ラインハルトの発病によって親征は中止され、代わってオーベルシュタインが、ビッテンフェルトとミュラーを指揮してハイネセンに赴き、治安回復にあたった。オーベルシュタインは旧同盟政府関係者を次々に拘引し、彼らを人質としてイゼルローン要塞の無血開城をはかろうとするが・・・。
第104話「平和へ、流血経由」
「帝国軍のやり方の是非はともかく、この要求を明確に拒絶することはできないと思います。」
フレデリカ・グリーンヒル・ヤン
ビッテンフェルトがオーベルシュタインに拘束され、反感を強める黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)の兵士が、些細なことからオーベルシュタイン直属部隊と争いになり、帝国軍同志の1連隊規模の衝突にまで発展する。そんな中、イゼルローン共和政府の指導者たちに出頭を求めるオーベルシュタインからの通達がもたらされ、フレデリカはハイネセンへ赴くことを決意する。
第105話「昏迷の惑星」
「僕は、この人たちの思い出話などしたくはない。この人たちと思い出話をしたい。そのためにも・・・」
ユリアン・ミンツ
大量の政治犯が収容されたラグプール刑務所で何者かの扇動により暴動が起こり、憲兵隊と黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)が同時にその制圧にあたったために指揮系統が乱れ、多数の死傷者を出す結果となってしまう。一方、イゼルローン回廊でも偶発的な軍事衝突が生じ、いよいよ宇宙は一触即発の危機を迎えようとしていた・・・
第106話「柊館 炎上」
「ホクス・ポクス・フィ・・・以下省略!」
ウルリッヒ・ケスラー
誰もがイゼルローン共和政府の動向に注目する中、ラインハルトと帝国軍主力の留守を狙って、フェザーンで爆破テロが起き、市街は混乱に覆われた。この事態を陽動と見抜いた憲兵総監ケスラーは皇妃ヒルダとアンネローゼのいる「柊館」に急行するが、「柊館」は、既に炎に包まれていた・・・。
第107話「深紅の星路 」
「おい、ロイエンタール。どうしたらいいと思う。俺に重大な責任を押しつけて、自分はヴァルハラで杯を片手に見物だ、などと・・・虫がいいではないか・・・」
ウォルフガング・ミッターマイヤー
イゼルローン共和政府への亡命を求める民間船「新世紀号」の救援要請がきっかけとなり、帝国軍とイゼルローン革命軍との全面衝突が始まった。帝国との対等な和平交渉のためには一定の軍事的勝利を挙げる必要があると考えていたユリアンは、今がその機と判断して全軍を出動させる。圧倒的大軍で攻め寄せる帝国軍。しかしユリアンは、敵の動きが奇妙に鈍いことに気づく。
第108話「美姫 は血を欲す」
「我が墓碑に名は要らじ。ただ美女の涙のみ、我が魂を安らげんと・・・」
ワルター・フォン・シェーンコップ
皇帝昏倒の報を受けて総旗艦ブリュンヒルトに赴いたミッタマイヤーとミュラーは、ラインハルトが不治の病に冒されていることを知る。帝国軍は前線で混乱し、その隙に乗じたイゼルローン軍に総旗艦ブリュンヒルトへの侵入を許す事態となった。ラインハルトとの直接交渉のため、彼が信じる民主共和主義を守るため、ユリアンはラインハルトの姿を探し求め、死闘の中を駆ける。
第109話「黄金獅子旗 に光なし」
「ゴールデンルーヴェが・・・全宇宙を征服した覇王の旗が、あんなにも力なく・・・」
ユリアン・ミンツ
多くの犠牲の上に、ようやく講和成立となった。イゼルローン要塞は喜びに包まれていたが、シェーンコップ、メルカッツらの戦死の報により一転、悲嘆に沈んだ。ラインハルトとユリアンは、今後のことについて話し合いの場を持つ。そんな中、ハイネセンの病院に収容されていたルビンスキーが最後に打った手とは・・・
第110話「夢、見果てたり」
「いつかお前もあの星々の世界に旅立つのだろうか。その時、お前は一人で行くのか、それとも・・・」
ウォルフガング・ミッターマイヤー
自ら終焉の地と定めた惑星フェザーンに、ラインハルトは帰ってきた。和平交渉を続けるユリアンらも同行していた。皇妃ヒルダと姉アンネローゼに見守られて、ラインハルトは最期の時を迎えようとしていた。だが、そこに地球教徒が襲撃してくる。その時ユリアンらは・・・。