STORY ー本伝 第2期ー
第27話「初陣」
「体制に対する民衆の信頼を得るには2つのものがあればよい。公平な裁判と、同じく公平な税制度」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
宇宙暦798年/帝国暦489年、イゼルローン回廊で軍事訓練にあたっていた同盟軍の前に突如、アイヘンドルフ少将率いる銀河帝国軍が現れ偶発的に戦闘状態に突入した。アッテンボロー指揮下の同盟軍には戦いに不慣れな新兵が多く、ひたすら守勢に回るしかなかった。ところが、却ってそれが帝国軍に「ヤンの作戦ではないか」との疑念を抱かせ積極的に積極的に攻められることはなかった。新兵としてこの戦いに参加したユリアンは、戦闘艇スパルタニアンのパイロットとして初陣を飾ることになるが、はたしてその戦果は?そして、ヤン不在の状況を帝国軍に対してどこまで隠し続けられるのか・・・
第28話「肖像」
「100戦して100勝するというわけにもいくまい。1度の敗戦は1度の勝利で償えばよい」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ラインハルトは、内政を固めることに尽力すると共に、キルヒアイス不在の心の穴を埋めるかのように、これまで以上に人材の登用に意欲を見せた。そんな中、ラインハルトは科学技術総監シャフトが提案した大規模な作戦を受け入れ、イゼルローン要塞への出兵を決定する。今は内政に専念すべきとの首席秘書官ヒルダの助言に対しては自らは出兵せず内政に従事するとし、ラインハルトは司令官にケンプ、副司令官にミュラーを任命し、作戦を遂行させる。
第29話「細い一本の糸」
「ある人間を自分の思い通りにしようとするには、相手をある状況に追い込み、行動の自由を奪い、選択肢を少なくすればよい」
アドリアン・ルビンスキー
フェザーン自治領主ルビンスキーは、これまでの政策を転換し、ラインハルトに全銀河系を統一させ、しかる後に彼を抹殺し、その遺産をすべて手中にするという計画を立てていた。そして、補佐官ケッセルリンクにその布石を打つよう命じる。ケッセルリンクはまず、同盟政府にヤンがクーデターを起こす可能性を示唆し、彼をイゼルローン要塞から引き離そうとする。その頃、帝国ではケンプの指揮のもと、着々とイゼルローン要塞への出兵計画が進められていた・・・
第30話「失われたもの」
「俺は寒いのだ、キルヒアイス。おまえと姉上がいない宇宙は暖かい光が欠けている」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ヤンは国防委員長より“査問会”を行うという名目でハイネセンへの出頭を命じられる。その頃、ケッセルリンクは、フェザーンに亡命していたシューマッハやランズベルクと接触し、「ある計画」への参加を呼びかけていた。また、帝国では、ガイエスブルク要塞のワープが成功し、ラインハルトがイゼルローン回廊への進攻を正式に決定する。この作戦の遂行に懐疑的なヒルダは、改めてキルヒアイスの喪失の大きさを思うと共に、未だ彼にしか心を開かないラインハルトを憂慮する。
第31話「査問会」
「国家が社会的不公平を放置して、いたずらに軍備を増強し、その力を内に対しては国民の弾圧、外に対しては侵略という形で乱用するとき、その国は滅亡への途上にある。これは歴史上、証明可能な事実である」
ヤン・ウェンリー
召喚命令を受けたヤンは、フレデリカとマシュンゴと共に、ハイネセンに到着したが、早々に2人と引き離されてしまう。軍の施設にほぼ軟禁状態となったヤンは、法的根拠のない査問会に引き出され、様々な事柄について詰問され、不満を隠せない。一方、ヤンを救出しようと奔走するフレデリカとマシュンゴは、頼みの綱、ビュコックを訪ねるが、現在のハイネセンはトリューニヒトによって政府、軍、マスコミに至るまで全て押さえられていると知り、愕然とする。クーデター以来、その権力を強めたトリューニヒトがうすら笑いを浮かべながら暗躍する!
第32話「武器なき戦い」
「人間の行為の中で何が最も卑劣で恥知らずか、それは権力を持った人間や権力に媚を売る人間が安全な場所に隠れて戦争を賛美し、他人には愛国心や犠牲精神を強制して戦場へ送りだすことです。宇宙を平和にするためには帝国と無益な戦争を続けるより先に、まず、その種の寄生虫を駆除することから始めるべきではないでしょうか」
ヤン・ウェンリー
帝国軍が40兆トンもの質量を持つガイエスブルク要塞をワープさせてイゼルローン回廊に侵入したことが判明し、ヤン不在のイゼルローン司令部は慄然とする。その頃、ハイネセンではヤンの査問が続き、遂に忍耐の限界に達したヤンが辞表を叩きつけようとした正にその時、帝国軍侵攻の急報が入ったのであった。同盟政府としてはヤンをイゼルローンに戻す他に道はなく、ヤンは自由の身となる。イゼルローン司令部には、ケンプからの宣戦布告が届き、主砲・ガイエスハーケンが襲いかかった!
第33話「要塞対要塞」
「それにしてもヤン・ウェンリーという男。いればいたで、いなければいないでどれほど我ら帝国軍を悩ませることか・・・魔術師ヤンとはよく言ったものだ」
ナイトハルト・ミュラー
ヤン不在のイゼルローン要塞に突き刺さるガイエスブルク要塞主砲ガイエスハーケン。トールハンマーで応戦する同盟軍。要塞同士の戦いが始まった。ケンプとミュラーの連携戦術に翻弄される同盟軍。そんな中、更なる危機を食い止めるため、ついにゲストアドミラル・メルカッツが動く。
第34話「帰還」
「ユリアン、教えたことを覚えているだろうか。そうしてくれれば・・・いや、私はユリアンが軍人になることを望んでいなかったはず、いささか虫がいいというものだ」
ヤン・ウェンリー
ミュラーはヤン不在の情報は真実であると判断し、帰還するヤンを捕らえようとするが、ケンプはそれを制止する。鋭い洞察力でケンプの作戦を見抜いたユリアンの助言により、戻って来たヤンと、メルカッツとの間で、連携が生まれ、帝国軍を追いつめる。劣勢となったケンプは、形勢挽回を狙う最後の手段としてガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞に衝突させようとするが・・・
第35話「決意と野心と」
「総参謀長はローエングラム侯をマキャベリズムの道具としてしか見ていないのではないかしら。だとしたら、それはあの方の、少年のような多感さを持ったあの方の感性を破滅させてしまうかもしれない・・・」
ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
敗走する帝国軍を追った同盟軍の前に、ミッターマイヤー、ロイエンタールの両艦隊が立ちはだかり、追撃を阻止した。敗戦を知ったラインハルトは、ミュラーを処断しようとするが、キルヒアイスを想起して思いとどまる。オーベルシュタインはヒルダの献策があったのではないかと問い質す。ラインハルトに支配者としての冷徹さのみを求めるそんな彼の態度にヒルダは、危機感を抱きはじめる。その頃、フェザーンでは次の陰謀が動き出していた・・・
第36話「雷鳴」
「結局またしてもフェザーンの黒狐が、奴は決して自分では踊らない。幕の陰で笛を吹くだけだ、踊らされるほうこそ、いい面の皮だな」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
リップシュタット連合の残党が、フェザーンの手引きで帝国に密入国したとの報告が入った。フェザーンの策謀を知ったラインハルトは、万が一に備えて姉・アンネローゼの護衛を強化する。ラインハルトの依頼を受け、山荘に隠棲するアンネローゼのもとを訪れたヒルダは、ラインハルトの胸中をアンネローゼに伝える。ラインハルトはフェザーン高等弁務官ボルテックを呼び出して策謀の全容を聞き、フェザーンとの間にかけ引きを展開する。
第37話「幼帝誘拐」
「犯罪とは、必ずそれによって利益を得る人間がいる」
オスカー・フォン・ロイエンタール
シューマッハとランズベルクは、幼帝エルウィン・ヨーゼフII世を誘拐しようと新無憂宮に潜入する。ラインハルトはそれを知りながら宮廷の警備を緩めていた。陰謀をめぐらすフェザーン、実行犯とならざるを得ないランズベルクとシューマッハ、その陰謀を逆用するラインハルト。様々な思惑の交錯する中、皇帝誘拐計画が実行に移された。はたして、この計画により最も利益を得るのは・・・
第38話「矢は放たれた」
「我々は流浪の少年皇帝を助けて悪の権化の簒奪者と戦う正義の騎士というわけだ。たいしたものさ、テレビアニメの主役がはれるぜ」
オリビエ・ポプラン
帝国軍の動きもなく平穏な日常を送るイゼルローン要塞に、ハイネセンからの緊急放送が入る。幼い皇帝を擁した旧帝国貴族たちが、フェザーンの協力を得て自由惑星同盟に亡命政権「銀河帝国正統政府」を樹立したという発表であった。すかさずラインハルトは同盟に対して宣戦を布告する。
第39話「ひとつの旅立ち」
「キャゼルヌ先輩は一つだけいいことをしてくれたよ。それはユリアン、おまえを私のところへ連れてきてくれたことさ」
ヤン・ウェンリー
予想される帝国軍の大侵攻を前に同盟政府は軍の人事権を乱用し、その影響はヤンの周辺にも及んだ。ユリアンが、フェザーンに赴任することになったのである。理不尽な人事であったが、これをフェザーンや帝国の内情を掴む好機ととらえるようにとユリアンを説得するヤン。宇宙暦798年/帝国暦489年9月、ひとりの少年が新たな任地に向かうべくイゼルローン要塞を後にする。
第40話「ユリアンの旅・人類の旅」
「フェザーンに行って別の価値観に触れる前に改めてここに至る人類の歴史を振り返ってみようと思う」
ユリアン・ミンツ
辞令を受けるため首都星・ハイネセンに向かうユリアンはその時間を利用して改めて帝国の、同盟の、そして人類の歴史を振り返る。人類社会に訪れた停滞の時代、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの登場、銀河帝国皇帝となった彼による弾圧、粛清。その後、共和主義者アーレ・ハイネセンが仲間と共にその支配下から脱出し、旅の途中でハイネセンは死去するも、彼の遺志を継ぐ者たちが自由惑星同盟を成立させたことなど・・・ユリアンが現在置かれている状況もまた、こうした歴史の上にあるのだった・・・
第41話「作戦名『神々の黄昏 』」
「フェザーン回廊を通過しないというのは人間が定めた都合であって、宇宙開闢以来の法則ではない」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
帝国軍の同盟領進攻作戦が発令される。それは、門閥貴族が中心の「銀河帝国正統政府」の存在と、それを後援する同盟政府を許さない帝国民衆の圧倒的な支持を得た。作戦は大胆で壮大なものだった。イゼルローン要塞へ陽動部隊を送り、本隊はフェザーン回廊を抜けて一気に進撃するという構想で、作戦名は「神々の黄昏」――。ヤン・ウェンリーは一人それを看破するも、対策をとる余裕も与えられぬまま事態は急速に進むのだった。
第42話「鎮魂曲 への招待」
「血を流す者、流させる者、流れた血を飲んで太る者。色々だね」
ユリアン・ミンツ
フェザーンに着任したユリアンは、その社会システムが安定していることを実感すると共に、ヤンの予想した帝国軍の作戦を挫くべく活動を開始する。だが、時すでに遅く、ロイエンタール艦隊がイゼルローン回廊に現れた。帝国軍の『神々の黄昏』作戦の第一幕が上がった。
第43話「ギャラルホルンは鳴った」
「終わりの始まりだ、フロイライン」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
門ロイエンタール率いる帝国軍によるイゼルローン要塞への攻撃がはじまった。ロイエンタール艦隊が仕掛けてきた先制攻撃に対しヤンは駐留艦隊を出撃させるが、逆に主砲を封じられてしまう。しかし、その状況に応じた策として強襲揚陸艦を密かにロイエンタール旗艦・トリスタンに接触させて薔薇の騎士連隊を送り込み、ロイエンタールとシェーンコップの一騎討ちが展開される。そんな中、ラインハルトの思惑通り『神々の黄昏』作戦は第二段階に突入しようとしていた。
第44話「フェザーン占領」
「彼らは閣下のことをカイザーと呼んでいるのです。マイン・カイザー、我が皇帝と」
ウォルフガング・ミッターマイヤー
イゼルローン回廊への増援に向かうと見せかけて帝都オーディンを進発した帝国軍は、先陣を切るミッターマイヤーのあとに続き、そのまま一挙にフェザーン回廊に殺到した。宇宙暦798年/帝国暦489年12月30日、ローエングラム侯ラインハルトはフェザーンに到着した。フェザーンの駐在武官たるユリアンの運命は、そして、フェザーン、同盟はどうなるのか・・・時代が大きく、かつ急速に動き出した。
第45話「寒波到る」
「同盟は独裁国となって存続するより、民主国家として滅びるべきだろう」
アレクサンドル・ビュコック
フェザーンを占領して意気上がる帝国軍に対し、危機的状況に追い込まれた同盟と銀河帝国正統政府。責任を追及されるべきトリューニヒトは失踪。そんな中、ビュコック司令長官らは残り少ない同盟軍の兵力を再編成し、対抗しようとするが・・・
第46話「ヤン提督の箱舟隊」
「野に獣がいなくなれば猟犬は無用になる。だから猟犬は獣を狩り尽くすのを避ける」
オスカー・フォン・ロイエンタール
フェザーン回廊を突破し、同盟領に侵攻する帝国軍。ビュコックからの連絡を受けたヤンは、もはや戦略上の意味を無くしたイゼルローン要塞の放棄を決定する。駐留艦隊を戦力として活かすべく同盟領へ向かおうとするが、ロイエンタール率いる帝国軍の圧倒的戦力を前に、多数の民間人を抱えて大掛かりな脱出作戦を試みるのは至難の技だった・・・
第47話「自由の宇宙 を求めて」
「フロイライン、私は戦いたいのだ」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
宇宙暦799年/帝国暦490年、1月20日、ラインハルトのもとに、ヤンがイゼルローン要塞を放棄したとの報告がもたらされる。ラインハルトは、ヤンが戦場で自分を倒そうとしていることを察知するが、戦うことにこだわる彼は、自ら「双頭の蛇」作戦の先陣に立つ。
第48話「双頭の蛇 ~ランテマリオの決戦~」
「わしは敵の銃口のために、この老体を残しておかねばならない・・・、という訳じゃな」
アレクサンドル・ビュコック
侵攻する帝国軍を阻止すべく、ランテマリオ星域を最終防衛線に設定した同盟艦隊であったが、その戦力比は帝国3に対し1であった。同盟軍は地の利を活かして善戦するものの、“双頭の蛇”陣形をとる帝国軍の圧倒的戦力の前に苦戦を強いられ、ヤン率いる援軍の到着を待つしかなかった・・・
第49話「闇が深くなるのは…」
「せっかくの年金も同盟政府が存続しないことには貰いようがない。従って私は老後の安定のために帝国軍と戦う訳だ」
ヤン・ウェンリー
かろうじて同盟軍の完全崩壊を防いだヤンは、一旦ハイネセンに戻り、フェザーンからの脱出に成功したユリアンと再会する。ヤンはユリアンから語られたフェザーンと地球教の繋がりに興味を示すが、帝国軍による更なる攻勢を迎え撃つべく準備を進めねばならなかった・・・
第50話「連戦」
「うちの艦隊は、逃げる演技ばかり上手くなって・・・」
ムライ
戦場でラインハルトを倒せば帝国軍は求心力を失って瓦解すると考えるヤンは、戦況をラインハルトとの単独決戦へと持ち込むべく、同盟領内で大掛かりなゲリラ戦を行い、帝国艦隊の各個撃破をはかる。痺れを切らしたラインハルトは、我が身を囮としてヤンをおびき寄せ、後に味方を反転させてヤン艦隊を包囲するという作戦をとる。二人の直接対決の時が迫る。
第51話「バーミリオンの死闘(前編)」
「要するに、要するに・・・、結婚してほしいんだ」
ヤン・ウェンリー
決戦を前にヤンは、なけなしの勇気を総動員してフレデリカに求婚する。自らを囮としてヤンを巨大な包囲網に誘い込むラインハルト。それを承知で短期決戦に起死回生を賭けるヤン。両者の衝突が確実となり、ついに直接対決の戦端が開かれようとしていた。それは、後の歴史家から「死闘」と称される決戦であった。
第52話「バーミリオンの死闘(後編)」
「良将だな。よく判断し、よく戦い、よく主君を救う、か・・・」
ヤン・ウェンリー
決戦に際してラインハルトの採った作戦は、24層にもわたる防御陣を並べて間断ない攻撃を加えながら、数で劣る同盟軍に消耗戦を強いるというものであった。それを看破したユリアンの意見に耳を傾けたヤンは策を講じ、自ら率いる主力軍でラインハルトの本営に肉迫する。ついに、ヤンはラインハルトの旗艦ブリュンヒルトを射程に捉えた。
第53話「急転」
「うん・・・、その手もあるね。だけど、私のサイズに合った服じゃなさそうだ」
ヤン・ウェンリー
宇宙暦799年/帝国暦490年5月5日22時40分。ヤン艦隊の砲列が、ラインハルトの乗る帝国軍総旗艦ブリュンヒルトを射程内に捉えた正にその時、首都星ハイネセンからの緊急通信として「無条件停戦命令」がヤンに伝えられた。勝利を目前にしたヤンがとった行動は・・・
第54話「皇帝ばんざい! 」
「民主共和制とは人民が自由意思によって、自分たちの制度と精神を貶める政体のことか」
ラインハルト・フォン・ローエングラム
停戦により、初めて対面を果たすヤンとラインハルト。ヤンを帝国元帥として迎え入れたい意向を伝えるラインハルト。それに対するヤンの回答は・・・