INTRODUCTION

あらすじ

地球から銀河系に進出した人類は西暦2801年、銀河連邦を樹立し、この年を宇宙暦元年とした。
清新と進取の気風にあふれた人類の黄金時代の始まりである。
宇宙暦296年、連邦軍の若き英雄であったルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは政界に転じ、その強力なる指導力をもって連邦議会に確固たる地位を築くに至った。そして、同310年、首相と国家元首を兼任したルドルフは銀河帝国の成立を宣言し自ら初代皇帝の地位に就くと共に宇宙暦を廃止し、この年を帝国暦元年とした。
ルドルフの支配は苛烈を極め批判者や反対者を弾圧、粛清する恐怖政治へと移行していった。
帝国暦164年、若き指導者アーレ・ハイネセン率いる共和主義者の一団がこの帝国領を脱出。
宇宙の危険中域を越えて多重惑星を持つ安定した恒星群に到り、新たに自由惑星同盟を建国し宇宙暦を復活させた。
宇宙暦640年/帝国暦331年、銀河帝国と自由惑星同盟は最初の接触をし、以来150年にもわたる永く不毛な戦いの歴史を繰り広げてきた・・。
こうした戦いの中、宇宙暦700年代末に2人の英雄が彗星のように現れた。
帝国側にラインハルト・フォン・ローエングラム、同盟側にヤン・ウェンリー。

いま、銀河の歴史は大きく動き出す。

STORY ー本伝 第1期ー

第1話「永遠の夜の中で」

「無能な司令官の下では、どんな有能も役立たない」
ダスティー・アッテンボロー

戦場におけるヤンやラップの状況に応じた的確な助言を無視し、我が道を歩む同盟軍の上官たち。それとは対照的に助言をする余地のない有能な指揮官の下で、勝利を手にしていく帝国軍。

第2話「アスターテ会戦」

「さぁ、おいでなすった・・・
問題は味方が私の言うとおり動いてくれるかさ」
ヤン・ウェンリー

アスターテ会戦の完全勝利に向けて紡錘陣形をとる帝国軍。中央突破で一気に勝負に出る構えである。それを迎え撃つ同盟軍第二艦隊のヤンがとった秘策とは?

第3話「第十三艦隊誕生」

「あなたは今、どこにいます?」
ジェシカ・エドワース

祖国と自由を守るという大義名分で戦争を賛美する国防委員長ヨブ・トリューニヒト。自分は安全な所に隠れて人々を戦争に駆り立てる男に、勇気ある女性、ジェシカが立ち向かう。

第4話「帝国の残照」

「早いものだな、キルヒアイス・・・あれからもう10年だ・・・」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

アスターテ会戦において多大な功績を残したラインハルトは姉であるアンネローゼのもとへキルヒアイスと共に向かう。キルヒアイスと出会ってから10年の月日が流れていた。ラインハルトとキルヒアイス、アンネローゼの関係を回想で綴る。

第5話「カストロプ動乱」

「ラインハルトを諌めることができるのはあなただけなのです」
グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼ

わずか2000の艦隊でマクシミリアン討伐に向かったキルヒアイス。 立ちはだかる「アルテミスの首飾り」と言われる、惑星防衛システムを打ち破るための彼の作戦とは?

第6話「薔薇の騎士」

「うまい紅茶を飲めるのは生きている間だけだから、みんな死なないように戦い抜こう」
ヤン・ウェンリー

第十三艦隊司令官として、軍事要衝であるイゼルローン要塞の攻略を命じられたヤン。そんな折、彼は横暴なトリューニヒト派の軍人を威圧するワルター・フォン・シェーンコップの姿を目撃する。そして要塞攻略作戦を彼に託すことになるのだが、はたして・・・

第7話「イゼルローン攻略!」

「私はシェーンコップを信じる。これはこの作戦の大前提だ。だから、最後まで信じてみることにするさ・・・」
ヤン・ウェンリー

ヤンの指揮のもとによるイゼルローン要塞攻略が始まった。 元銀河帝国出身で、いつ裏切るとも知れないシェーンコップを作戦の要に据えるが、動じることなく戦況を見つめるヤン。

第8話「冷徹なる義眼」

「ゴールデンバウム王朝は滅びるべきなのです」
パウル・フォン・オーベルシュタイン

無能な指揮官の下から逃れてきた冷徹なる義眼、オーベルシュタインがラインハルトに自らを起用するよう訴えてきた。キルヒアイスは釈然としない。オーベルシュタインの堂々たるプレゼンテーションは圧巻。

第9話「クロプシュトック事件」

「たびたび躾の悪い犬に吠えかけられるので時には蹴飛ばしてやるのが犬のためでもあろうという気が致しまして」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

ブラウンシュヴァイク公爵主催の晩餐会に出席したラインハルトは悪意に満ちたフレーゲル男爵に話しかけられるが、これを軽くあしらう。しかし、そうしている間にも刻一刻とクロプシュトック侯の仕掛けたテロの危機が迫っていた・・・

第10話「ジェシカの戦い」

「私、自惚れていたの・・・もう一度あなたが誘ってくれるって思ってたのよ」
ジェシカ・エドワーズ

ヤンは士官学校の記念式典に招待され、テルヌーゼン市を訪れた。折しもテルヌーゼン選挙区補欠選挙が行われようとしており、そこには反戦団体からの候補ソーンダイクを支援するジェシカの姿があった。士官学校時代のヤン、ジェシカ、ロベールの微妙な三角関係がヤンとジェシカにとっては、ただ、愛しく懐かしい。

第11話「女優退場」

「この眼はごまかせないよ、おまえは陛下の御心を盗み、国をも盗もうとしている!」
ベーネミュンデ侯爵夫人シュザンナ

皇帝陛下の寵愛を受けることができないのは、アンネローゼが自分から皇帝陛下を奪ったためと決め込み、アンネローゼ殺害を企てるシュザンナ。

第12話「帝国領進攻」

「時々疑問に思うんですが、帝国では一部の貴族が民衆を支配して悪政を敷いていますが同盟では民衆に選ばれた政府が悪政を敷いている。いったいどっちがたちが悪いんでしょうか・・・」
ヤン・ウェンリー

自由惑星同盟最高評議会による帝国領内への進攻をするか否かという今後の命運を左右するあまりにも大きすぎる決断がまさに、一部の政治家によって決められようとしていた。膨大な人的および物的な資源を費やすことになる戦いははたして同盟にとってどのような結果をもたらすことになるのか・・・3022万7400名が戦地に送られようとしていた。

第13話「愁雨来たりなば…」

「強くなったな、フィーア。もはや・・・」
ウルリッヒ・ケスラー

同盟軍の帝国領侵攻の情報を得たラインハルトは、彼らを領土深く誘い込み、戦線が伸びきったところで攻撃するという方針を立てた。さらに同盟軍の力をそぐため、民衆に同盟軍の食料、物資を吸い取らせるという作戦を立て、かねてより辺境に赴任していたウルリッヒ・ケスラーに辺境星域の食料・物資の徴発を命じた。辺境星域の一つにはかつて、ケスラーと互いに思いを寄せていたフィーアがいたが、今はクラインゲルト家に嫁ぎ嫡男カールもいた。同盟軍が迫る中、首都星オーディンに向かうよう勧めるがフィーアは強い意志でケスラーに自らの決意を告げる。

第14話「辺境の解放」

「ロボス閣下がお目覚めの節は良い夢がご覧になられましたかとビュコックが気にしていたとお伝え願いましょう」
アレクサンドル・ビュコック

さしたる抵抗もなく帝国領を攻め上る同盟軍。自由惑星同盟軍のヴァーリモント少尉は植物学、土木学に通じていることからホーウッド中将に命じられ、帝国領に降り立ち、土地の開墾に務める。しかし、補給部隊が殲滅させられると人民の救済はおろか、上層部から食料、物資の現地調達という名の略奪を命じられる。彼はこれに反発するが、他の同盟軍の将官たちは命令を遂行する。前線部隊の状況を理解しない上層部の決断に翻弄されるヴァーリモント少尉と民衆。辺境で芽生えたテレーゼとの恋もまた切なく・・・

第15話「アムリッツァ星域会戦」

「それにしてもローエングラム伯の下にはどれだけの人材がいるんだろう・・・」
ヤン・ウェンリー

物資も底をつき、補給ルートも絶たれ、遠征による疲労に襲われる同盟軍。そこへ満を持して帝国軍が攻撃を仕掛けてきた。帝国側はラインハルトを筆頭にキルヒアイス、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ケンプ、ルッツ、ワーレン、メックリンガー、ビッテンフェルト・・・個性豊かで有能な指揮官たちが同盟軍に大攻勢をかける。

第16話「新たなる潮流」

「悔しいさ!決まっている。ティアマト、アスターテ、そしてこのアムリッツァ、何故やつは、いつでも俺が完全に勝とうとするときに現れては邪魔をするのか!」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

アムリッツァ星域での、ラインハルト率いる帝国軍の完全勝利を目前に、孤軍奮闘のヤン率いる第十三艦隊は、手薄となった黒色槍騎兵艦隊の包囲網を突破してイゼルローン要塞に帰還する。ラインハルトはヤンをこれまで以上に意識し始める。

第17話「嵐の前」

「軍人というのは敵を殺し、味方を死なせ、他人を騙したり出し抜いたりすることに明け暮れるろくでもない商売だ」
ヤン・ウェンリー

門閥貴族との武力抗争に乗り出す構えのラインハルトは、その間の同盟軍の動きを封じるための計略を立てる。だが、イゼルローン要塞司令官となったヤンは、この企てを予測していた。ヤンがとった対抗策とは・・・?

第18話「リップシュタットの密約」

「忠誠心などというものは、その価値のわかる人に捧げてこそ意味のあるもので、人を見る目のない主君に忠誠を尽くすなど宝石を泥の中に放り込むようなものです」
アントン・フェルナー

門閥貴族は、ブラウンシュヴァイク公の別荘のあるリップシュタットの森に参集し密かに盟約(リップシュタット盟約)を結んだ。これによって誕生した貴族たちの軍事組織(リップシュタット連合軍)は皇帝を擁するリッテンハイム侯、ラインハルト陣営に戦いを挑む準備を進めたが・・・。

第19話「ヤン艦隊出動」

「ルドルフが建てた帝国を打倒するために、ルドルフの亡霊を蘇らせようというのか・・・こいつはひどい喜劇だ」
ヤン・ウェンリー

宇宙暦797年3月30日、フォーク予備役准将による同盟軍統合作戦本部長クブルスリー大将の暗殺未遂事件が発生。それがすべての始まりだった。同盟領各地で軍の反乱、暴動が続発。暴動鎮圧のために出撃しようとしていたヤンのもとに、遂にクーデター勃発の報が入る。だが、「救国軍事会議」を名乗るクーデター勢力の首謀者は・・・!

第20話「流血の 宇宙そら

「シュターデン教官は知識は豊富でしたが事実と理論が対立するときは理論を優先させる傾向がありました。我ら学生は“理屈倒れのシュターデン”と呼んでいたものです」
ウォルフガング・ミッターマイヤー

リップシュタット戦役の最初の戦いは、ミッターマイヤーと彼の士官学校時代の教官、シュターデンとの間で始まった。だがミッターマイヤーの用兵の前には歯が立たず、シュターデンはレンテンベルク要塞に逃げ込む。要塞の心臓部である核融合炉を守っていたのは、白兵戦で敵を葬ることを何よりの楽しみとする装甲擲弾兵総監、オフレッサー上級大将であった。オーベルシュタインはオフレッサーには使い道があるとし、ある作戦の遂行をラインハルトに指南する。

第21話「ドーリア星域会戦、そして…」

「死ぬ覚悟があればどんな酷いことをやってもいいというの?信念さえあればどんな酷いことも、どんな愚かなこともやっていいというの?暴力によって自ら信じる正義を他人に強制する人間はあとを絶たないわ!」
ジェシカ・エドワーズ

救国軍事会議は、イゼルローン攻撃に向けてルグランジュ提督率いる第十一艦隊をドーリア星系に配備し、同時にハイネセンより脱出したと見せかけてバグダッシュ中佐をヤン艦隊に送り込む。彼はヤン暗殺の密命を帯びていたのだ。はたして、救国軍事会議の思惑通り事が運ぶのか・・・ヤンの運命は?一方、ハイネセンではジェシカたちが主催する反クーデターの市民集会が開かれ・・・。

第22話「勇気と忠誠」

「貴族のバカ息子どもが、穴の中に引っ込んでいれば長生きできたものを、わざわざ宇宙の塵になりに来たか」
ウォルフガング・ミッターマイヤー

ブラウンシュヴァイク公との確執の挙句、リッテンハイム侯は50000隻の艦隊を率いてガイエスブルク要塞を出て、辺境星域を次々と平定しているキルヒアイスの討伐に向かった。その報を受けたキルヒアイスは、少数の高速機動部隊を率いてリッテンハイム艦隊を翻弄する。その間、ルッツ、ワーレンが更なる攻撃を仕掛ける。団結に欠け、烏合の衆とも言える貴族連合と、見事なまでの連携を見せるラインハルト陣営の戦いぶりが実に対照的である。貴族連合の中にあって、唯一奮戦したのはファーレンハイト、そして老錬のメルカッツであった。

第23話「 黄金樹ゴールデンバウム は倒れた」

「わしは40年以上も武人としてゴールデンバウム王朝にお仕えしてきた。それが滅びるなら、せめて命運を共にするのが最後の務め。どうも我ながら不器用なことだ」
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ

惑星ヴェスターラントを統治する甥、シャイド男爵が、搾取に反発する民衆に殺されたことを怒ったブラウンシュヴァイク公は、報復のためにタブーとされている熱核攻撃を敢行しようとする。それを知ったラインハルトは直ちにこれを阻止しようとするが、オーベルシュタインは異を唱える。この攻撃の模様を撮影して、大貴族の非人道性を帝国全土に知らしめ、彼らの支配する民衆や、平民出身の兵士たちを離反させる決定打にするべきだというのだ。貴族連合軍を内部分裂させるための策を立案中のラインハルトだが、この作戦には気が進まない。「キルヒアイス、おまえがいたら絶対に許すまいな・・・」

第24話「誰がための勝利」

「固い信念なんてものは、かえって信用がおけんね。だいたい戦争なんてものは固い信念を持ったもの同士が起こすんだからね」
ヤン・ウェンリー

頼みとする艦隊、第十一艦隊を失い救国軍事会議によるクーデターは急速に行き詰まりつつあった。ヤンは、バグダッシュを証人にクーデターがラインハルトの計略であるという事実を同盟市民に公表し、その意義を失わせると共に、ハイネセンに立てこもる救国軍事会議の最後の拠り所である軍事衛星群「アルテミスの首飾り」を奇策をもって破壊する。更にヤンの公表した事実をリンチが認めたことで事態は大きく展開する。

第25話「運命の前日」

「政略のために民衆の犠牲を厭わないというのではあのルドルフ・フォン・ゴールデンバウムとなんら変わるところがないではありませんか!」
ジークフリード・キルヒアイス

全領土の制圧を成し遂げたキルヒアイスの別動隊は、ラインハルトの本隊が進駐するガイエスブルク要塞に帰還した。自ら出迎えその労をねぎらうラインハルトであったが、一方、キルヒアイスは、ブラウンシュバイク公によるヴェスターラントへの熱核攻撃を政略のために黙認したことが事実であるか否かをラインハルトに問う。ラインハルトは自身の葛藤には触れず事実と認める。そんな中、とりかえしのつかない悲劇が訪れようとしていた・・・!

第26話「さらば、遠き日」

「私たちはお互いの他に何も持たなくなってしまった・・・」
グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼ

アンスバッハは、ラインハルトに向けて銃を発射した。誰もが凍りつく中、キルヒアイスだけがアンスバッハを抑え込み、これを阻止したが、アンスバッハは指輪に偽装したレーザー銃でキルヒアイスを撃った。飛び散る鮮血。横たわるキルヒアイス・・・。しかし、この惨劇をも政敵リヒテンラーデ公を葬り去るための政略に利用しようとする冷徹なオーベルシュタインの姿があった。

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